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〇グッドランゲージ××校・教室(夕)

英理とジェニファーが英会話のレッスンをしている。

英理「はい、ここまでね」
ジェニファー「疲れたぁ」
英理「まだスタートしたばかりよ?」
ジェニファー「思ったより難しくて」
英理「スキルアップしたいんでしょう?」
ジェニファー「それはそうだけど―」

英理が教室内の掃除を始める。
ジェニファーも後片付けを始める。

英理「ねえ」
ジェニファー「ん?」
英理「どうしてレッスンしようと思ったの?」
ジェニファー「う~ん」
英理「なんとなく?」
ジェニファー「今は国際的な時代だし、英語くらい喋れるようにならないと何かあった時に困るでしょ」
英理「コクサイテキ―ね」
ジェニファー「でも私、一度も海外に行ったことがないんだよね」
英理「そのルックスでいわれても―」
ジェニファー「私、飛行機がどうも苦手でさ」
英理「そうなの?」
ジェニファー「高い所がダメみたいなんだ」
英理「それもジョークかなにか?」
ジェニファー「去年の修学旅行、飛行機で九州に行くって言うから私だけ休んじゃったの」
英理「unbelievable」
ジェニファー「今じゃ笑い話だけどね」
英理「ぜんぜん笑えない」
ジェニファー「てかさ、先生って海外にいたんでしょ? 飛行機の乗り心地ってどんな感じ?」
英理「どうって言われても―」
ジェニファー「克服する方法とかないの?」
英理「……コクフク?」
ジェニファー「出来るようになるってこと」
英理「そうね……それは―」
ジェニファー「やっぱ乗ってみないとわかんないか」
英理「どうしてそんなことをわたしに?」
ジェニファー「ん? 何となくだよ」
英理「どこかにお出かけ?」
ジェニファー「ううん。ちょっと気になっただけ」
英理「…………」
ジェニファー「あ! もうこんな時間だ。今日はありがと、じゃあね」

英理が手を振る。
ジェニファーが去っていく。
シーンとなる室内。
英理、スマホで英字のニュースを読み始める。

ジェニファーの声「うわ! そういうのも読めるんだ!」

驚く英理、背後にはいつの間にかジェニファーの姿が。

英理「びっくりした」
ジェニファー「さすが先生。私には無理ね」
英理「そんなことないよ」
ジェニファー「ひょっとして漢字、苦手?」
英理「…………」
ジェニファー「図星か。じゃあ、今度私が教えてあげるよ」
英理「No thank you」
ジェニファー「国語と日本史なら任せて。テストはいつもトップだから」
英理「だからNo thank you」
ジェニファー「サンキューでいいのね」
英理「NOがついてるんだけど」
ジェニファー「てか、白黒はっきり言うよね」
英理「日本語のほうがヘンなのよ」
ジェニファー「え?」
英理「なんでもオブラートに包むから」
ジェニファー「それは確かにね」
英理「ストレートじゃなきゃダメなときだってあるのに」
ジェニファー「わび、さびが必要な時もあるんだよ」
英理「……わさび?」
ジェニファー「わび・さび。日本での大切な表現方法ってことだよ」
英理「……わからない」
ジェニファー「でもそれが日本だからさ」
英理「ところでどうしたの?」
ジェニファー「ん?」
英理「ここにいるから」
ジェニファー「あ! そうそう。これ」

ジェニファーがカバンからチラシを取り出して英理に渡す。

英理「え?」
ジェニファー「良かったら来て。じゃあね」

帰っていくジェニファー。
チラシを見る英理。
『第×回××高校文化祭』。

英理「……No thank you」

〇××高校・前

正門に『××高校』の看板。

<第6話へつづく>

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