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〇公園

千景と友介。

友介「本当にそれでいいんですか?」
千景「…………」
友介「今のあなたは全く活きていない」
千景「余計なお世話だって」
友介「このままじゃ、あなたはあなたじゃなくなってしまいます!」
千景「あんたには関係ないでしょ!」
蓮の声「何だよ、それ―」

驚く千景と友介。
蓮が現れる。
里音もいる。

千景「蓮?!」
友介「え?」
千景「何でここに?」
蓮「最近お前の様子が変だから、何かあったんじゃないかと思って―」
里音「スンマセン、このヒトがスンゴイ迫力で来られたんでコワくてつい、その―」
千景「…………」
蓮「どういうことか教えてくれ。この子の言ってることは本当なのか?」
千景「……………」
蓮「千景!」
千景「悪いのは―悪いのは―私だから」
蓮「……じゃあ、本当なのか?」
千景「…………」
蓮「答えてくれ!」
千景「―うん。全部ホント」
蓮「千景―」
千景「とうとうバレちゃったか」
蓮「そんな―じゃあ今までずっと―」
千景「そう、私はあなたの思うような女性じゃない。激辛ラーメン食って、ボクシング見て、ゲーセンのガンシューティングでストレス吹っ飛ばすような女」
蓮「千景―」
千景「もうこれ以上隠すことなんてやっぱりできないよ!」
友介「千景さん」
千景「素の自分を見せるのがすごく恐かった! だから今まで迷惑かけないようにずっと相手に合わせてきた。でもそうすればするほど、どんどん自分がわかんなくなっていった。でもこれで良かったよ、ずっとウソついてたからバチが当たってくれて」
里音「チカ姉―」
千景「ホントにごめん」

千景が行ってしまう。

蓮「千景!」

蓮、ショックを隠せず立ち尽くしうなだれる。
友介と里音がアイコンタクトして―

〇七草家・千景の部屋

千景、声を殺して思いっきり泣く。
少しだけ空いたドアの隙間、哲彦が察した様子で立っている。

〇同・リビング

哲彦がパソコンでプロレスの試合動画(前のシーンと同じもの)を観ている。
無気力の千景がやってきて、

千景「よっぽど好きなんだね、それ」
哲彦「わかるか」
千景「もしかしてレスラーに憧れてたとか? それにしてはひょろっとしてるけど」
哲彦「ダディ、こう見えて65㎏あるんだぞ」
千景「ホントになろうと思ってたの?」
哲彦「まさか」
千景「どっちなんだって」
哲彦「ははは」
千景「…………」

千景が行こうとして、

哲彦「ちょい待った!」
千景「何?! ビックリするじゃん!」
哲彦「もうすぐもうすぐ……ほら、ここ!」

哲彦がディスプレイを指差す。
そこには若い男女の観客で、よく見ると男のほうは哲彦にどこか面影がある。

千景「もしかして」
哲彦「そう、ダディ&マミーだ」
千景「リングネームみたいに言われても。って、え?! この時から付き合ってたの?」
哲彦「いわゆる馴れ初めだな。大学の友達に連れられたがダディはあまり乗り気じゃなかったんだ。そしたら隣ですごい声を出して応援してるカワイイ子がいてな」
千景「それが……母さん?」
哲彦「めちゃくちゃキラキラしてて、ダディ思わず声かけちゃった」
千景「…………」

映像を観るふたりを見守るかのように微笑んでいる、仏壇にある女性の遺影。

哲彦「さすが、DNAなんだな」
千景「え?」
哲彦「母さんの素晴らしいとこをしっかり受け継いでやがる」
千景「…………」
哲彦「人生は男も女も関係ない、自分が一番イキイキして生きてりゃそれでいいのさ」
千景「……父さん」
哲彦「ダディ、だ」

〇近くの道(夕)

全速力で走る千景。
と、向こうから蓮がやってくる。

千景「……蓮、私―」
蓮「さっきは悪かった。つい熱くなって」
千景「……こちらこそ」
蓮「話は、聞いた」
千景「え? もしかしてあのふたり―」
蓮「……ちょっといいかな?」

<最終話へつづく>

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