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<登場人物>
ノゾミ(24) 主人公
たかゆき(25) ノゾミの彼氏
リカ(24) ノゾミの友人

〇アパート・たかゆきの部屋(夜)
スーツを脱ぎながらスマホでメッセージを打つニヤリ顔のたかゆき(25)。
ゆっくり入って来る若い女。
険しい顔をしたノゾミ(24)だ。
その手にはロープが握られている。

たかゆき「これでよし、と」

ノゾミ、下着姿になったたかゆきの背後に近づいていく。
そしてロープを彼に目がけて―

〇タイトル
「いとしの彼氏のヒミツ」

〇アパート・リビング(夜)
T「1日前」
ノゾミとたかゆきが食事をしている。

テレビに流れる旅番組、老舗の温泉旅館を紹介するタレント一行。

ノゾミ「どっか旅行したいなあ」
たかゆき「また今度連れてくよ」
ノゾミ「こんどっていつ?」
たかゆき「こないだ京都行ってきたばかりだろ」
ノゾミ「それはそうだけど、もっとふたりの思い出たくさん作らなきゃ」
たかゆき「今こうして一緒にいる何気ない時間も良い思い出」
ノゾミ「いや、そういう意味じゃなくって」
たかゆき「飛行機ダメだから、新幹線で行けるとこね」
ノゾミ「んもう。あのね、たかちゃん。もっと外の世界も見たほうがいいよ?きっと人生観変わるから」

たかゆきはテレビを見つめている。
じっとたかゆきを見つめるノゾミ。

〇ショッピングモール・旅行会社(回想)
たかゆきがパンフレットを見ている。
何かを考えているようで―

〇百貨店・カバン売り場(回想)
たかゆきが店員から説明を受けている。
不安なノゾミ、少し遠い壁の陰から半分顔をのぞかせる
まるで流行のひょっこり芸人のようだ。

ノゾミ「…………」

レジにて、質の良いキャリーケースをふたつ購入するたかゆき。
どこかに郵送する手続きをしている。
たかゆきがニヤリ。
ショックを隠せないノゾミ。

〇もとのリビング(夜)
ノゾミの視線に気づくたかゆき。

たかゆき「何だよ」
ノゾミ「べつに」

温泉を堪能しているテレビの中の芸人が「浮気の密会にピッタリだね」とポツリ。

その言葉に思わず反応してしまうノゾミ。
一方、たかゆきはツボに入ったのかフッと笑う。

たかゆき「どした?」
ノゾミ「べつに」
たかゆき「ごはん、冷めるぞ」

ノゾミ、険しい顔でごはんを一口。

〇同・寝室(深夜)
豪快ないびきをかいて心地よさそうに眠っているたかゆき。
隣にいるノゾミ、眠れない。
たかゆきのスマホをオンにするノゾミ。
指紋認証画面が出る。
たかゆきの腕に手を伸ばそうとするノゾミ。
『指紋をどうぞ』の文字。

ノゾミ「…………」

画面が切り替わり、現れる待受。
たかゆきとのツーショット。
ノゾミ、思いとどまる。

リカの声「考えすぎでしょ」

〇車の中(日替わり)
外車を運転するリカ(24)、派手な雰囲気。
助手席にノゾミ。

ノゾミ「でも見ちゃったんだって!旅行のパンフレット見てたし、ウチに内緒でおっきな買い物してたのよ?高そうなバッグ、しかもふたつよ?ふたつ!たかちゃん、いつもお金にケチなのに」
リカ「なんか心当たりないの?」
ノゾミ「…………あ!」
リカ「なになに」
ノゾミ「最近ラブホ行かなくなった」
リカ「いや、だって同棲してるんでしょ?」
ノゾミ「前はどっちもだったの。でも最近はアパートばっかでその……なんていうかコーフンしづらいっていうか」
リカ「ノゾミちゃん、今お昼だよ」
ノゾミ「こういうときくらい言わせて」
リカ「それ以外には?」
ノゾミ「う~ん、そうねえ。アブノーマルなスタイルばっかで飽きちゃったのかな?」
リカ「何でもかんでもそっちに結びつけないの」
ノゾミ「だってえ」
リカ「いっそ聞いてみればいいじゃん」
ノゾミ「ええ?!こわいよ」
リカ「勝手に誤解してるかもよ?ノゾミちゃん、いつもそうだから」
ノゾミ「いつもって」
リカ「思ってることは聞いたらいいよ。それがホントであってもそうじゃなくても、ずっとため込んでおくよりマシでしょ?」
ノゾミ「…………たしかに溜まるとよくないって言うけど」
リカ「またヘンなこと考えてるでしょ」
ノゾミ「そんなつもりで言ったんじゃないよ。そういうリカっちはどうなの?ダンナさんのそういう考えとかわかるの?」
リカ「もちろん」
ノゾミ「すごい」
リカ「直感よ。第六感、シックスセンス」
ノゾミ「そっか、セック―」

突然、リカが片手でノゾミの手を塞ぐ。

ノゾミ「(もがきながら)息ができない」

リカがノゾミの口から手を放す。

リカ「あ、ごめん!」
ノゾミ「殺す気?!」
リカ「つい条件反射で」

〇アパート・リビング(夜)
キッチンでノゾミが料理を作っている。
スーツ姿のたかゆきが帰ってきて、

たかゆき「ただいま。お、今日はカレーか」
ノゾミ「…………」

たかゆき、ソファでスマホを操作しはじめる。
カレンダーを見たり、旅館のホームページを見たり。
ノゾミはガン見。

リカの声「思ってることは聞いたらいいよ」

ノゾミ、お玉を持つ手がギュッとなる。

ノゾミ「もうすぐできるから」
たかゆき「じゃあ、着替えて来る」

と、そそくさと部屋へ行ってしまう。
たかゆきのスマホのディスプレイにメッセージアプリが見える。

ノゾミ「…………」

〇同・たかゆきの部屋(夜)
冒頭のシーンのつづき。
たかゆき、スーツを脱ぎながらニヤニヤして誰かにメッセージを送っている。
静かに入って来るノゾミ。
たかゆきは気づかない。

たかゆき「これでよし、と」

背後に険しい顔でロープを持ったノゾミ。
下着姿のたかゆき、振り返って驚く。

たかゆき「ノゾミ?!」

ノゾミがロープをかけようとした!
たかゆきがとっさに逃げようとするも、バランスを崩して倒れてしまう。
容赦なく迫って来るノゾミ。

〇同・外観(夜)
たかゆきの悲鳴と大きい物音が響く。
そして訪れる静寂。

〇同・たかゆきの部屋(夜)
たかゆき、下着姿で胴や足をロープで縛られている。
それはまるで緊縛プレイのよう。

たかゆき「どういうプレイだよ?!」
ノゾミ「…………」
たかゆき「え、マジで何がどうなってんの?」
ノゾミ「答えて!」
たかゆき「何を?」
ノゾミ「とぼけないで!ウチにないしょで誰かとどっか出かけるんでしょ?ウチ、見たんだから!!」
たかゆき「……は?」

ノゾミ、なおもロープで縛っていく。
拘束されて動けないたかゆき。

たかゆき「痛い痛い!」
ノゾミ「前に言ったよね?そういうことしたらウチ許さないって。だから許さない、ぜったい許さない!」
たかゆき「ちょっと待ってって!」

ノゾミがロープに力を込める。
たかゆき、さらに苦しむ。

たかゆき「スマホ見て、スマホ」
ノゾミ「は?」
たかゆき「いいから!」

スマホを見るノゾミ。

ノゾミ「え?」

よく見ると、『結婚25周年おめでとう!カバン届いた?旅館予約しといたから、夫婦水入らずで行ってらっしゃい』。

ノゾミ「……へ?」
たかゆき「後で言おうと思ってたんだよ」
ノゾミ「夫婦水入らずって、たかちゃんのパパとママ?」
たかゆき「俺の名前、孝行(たかゆき)だろ?ずっと親孝行したいと思っててさ。会社の仕事にもやっと慣れてきたし、そろそろ息子らしいことしたいと思って」

不意にノゾミの目から溢れだす涙。

ノゾミ「なんで………なんで言ってくれなかったの?ウチ、いつもたかちゃんの近くにいるのに、隠しごとされてるなんてイヤ!」
たかゆき「だってお前、うっかりしゃべるだろ」
ノゾミ「………そうだけど」

たかゆきがノゾミをギュッとする。

たかゆき「悪かった」
ノゾミ「……うん」
たかゆき「また旅行に連れてくから……次は夫婦として」

ノゾミ、微笑む。
サイレンの音が近づいてきて止まる。
ふたりは自分たちの世界に浸っていて気づかない。

ノゾミ「カレー食べよっか」
たかゆき「その前に……」
ノゾミ「ん?」
たかゆき「続けるか、これ」

たかゆきがロープを手で触れる。

ノゾミ「今夜もアブノーマル?」
たかゆき「いいよ」

ノゾミとたかゆき、良い雰囲気。
今まさにコトが始まろうとしたとき、いきなり開けられるドア。
制服警官がやってきて、

巡査「すいません、この部屋で大きな悲鳴が聞こえたと通報があって―」

長い沈黙が部屋に漂う。

ノゾミ「……あ」

<おわり>

このシナリオはフィクションです。

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