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〇スイーツカフェ (夕)

テーブルに里音。
真後ろのテーブルには千景がいる。
ふたりは背中合わせで、

千景「来てしまった」
里音「あざっーす」
千景「これ返す (とサービス券を出す)」
里音「いやいやいやいや」
千景「こんなもので私は釣られないから」
里音「あれぇ? さっき目キラキラしてたのはどこの誰っすか?」
千景「とにかく返すって」

里音、サービス券を受け取る。

友介の声「お待たせしました」

友介がブラックコーヒーを千景のもとへ持ってくる。
友介が千景を見つめる。

千景「……何か?」
友介「いえ。ごゆっくりどうぞ」

と、去っていく

里音「やっぱコーヒーだけっすか」
千景「それ以外に何があるっての」
里音「あ、スイーツダメでしたっけ? ちなみにココ、ランチんときはめっちゃ並ぶんすよ。あ、行列もダメでしたっけ?」
千景「言い方に悪意を感じる」

ホールを歩く友介、千景と里音が話しているのを見ている。

友介「…………」
千景「ちょっとごめん」
里音「あ! 逃げるんすか?!」
千景「トイレだって」

友介は千景と里音の様子を見ている。

〇同・廊下 (夕)

電話をしている千景。

千景「もしもし蓮? ごめん、ちょっと用事ができちゃって― ううん、残業なの。大事な日なのはわかってる。でもどうしても今日は難しくて―急でホントにごめん」

里音の真向かいに座る男性、添村。

千景「そういうことだからいったん切るね」

慌てて千景が席に戻っていく。

〇住宅展示場 (夕)

蓮の職場。
片隅で電話をしているスーツ姿の蓮。

蓮「ちょっと千景、おい、おい!」

疑心暗鬼の蓮で―

〇もとのスイーツカフェ (夜)

不穏な雰囲気。里音はうつむいている。
真向かいの添村が、

添村「正直、キミみたいな子は初めて見た」
里音「…………」
添村「まるで男だ」

背後の千景、まるで自分のことのよう。
友介が千景の異変に感づく。

里音「ウチはただ……ホントのウチを見てほしかったから」
添村「激辛ラーメンにヘビメタのライブでヘドバン、そして10キロランニング。それがキミのデートコースか」
里音「さすがにウソつくのはアレだし」
添村「付き合わされたこっちの身になってみろ。だいたいオレは女にそういうのを求めてないんだよ」
里音「…………」
添村「ムードゼロだっつうの。映画とか夜景とか遊園地とか普通そういうのだろ」

どんどん里音が落ち込んで、目が潤み始める。

添村「オレの言ってることおかしいか?」

イラっとする千景、強くコップを握る。
慌てて友介が千景に近づこうとするが、他の客に呼ばれてしまう。

添村「だいたいキミはそんなんだから―」

立ち上がった千景が添村めがけてコップの水をぶちまけようとする。
と、大柄な男が眼前に立ちはだかる。
友介だ!
何とか間に合い、コップの水を全身で受け止める。

千景「(ハッとして) すいませ―」
友介「(小声で) ここは僕が」
千景「え?」
友介「(小声で) お連れ様を頼みます」

友介がアイコンタクト。
千景は呆然としている。

友介「お客様、こんなに水がこぼれてるじゃありませんか!」
添村「いや、こぼしたのはオレじゃ……てか、アンタがびしょびしょじゃねえか!」

千景が急いで里音を連れて店の外へ。

添村「お、おい! まだ話は終わってな―」

遮るように友介が添村に話しかけながら、千景と里音が出て行く姿を確認。

〇近くの道 (夜)

千景が里音を引き連れて歩いている。
里音が立ち止まって泣き崩れてしまう。

里音「チカ姉……ウチ……ウチィ……」
千景「大丈夫だから、よしよし。あんたはあんたのままで良いんだから」

なおも大声で泣きじゃくる里音。
抱き寄せて慰める千景。

<第4話へつづく>

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