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〇駅・改札前 (夜)

千景と友介。

千景「今日はありがと。じゃあ、ここで」
友介「最後に―」
千景「ん?」
友介「僕とデートしてくれた理由、まだ聞いてなかったので」
千景「それは別に言うほどのことじゃ―」
友介「教えてくれませんか?」
千景「……また今度」
友介「千景さん」
千景「ちょっと急いでるから」
友介「―そうですか」
千景「ごめん」
友介「いえいえ」

千景が行こうとするもふと立ち止まり、

千景「(ボソッと) あなたは素の私を見ても引かなかった。ただそれだけ」
友介「(聞こえなくて) はい?」

千景の言葉は電車の通過音に掻き消された。
振り返ることなく千景は改札を通って行ってしまう。

友介「…………」

ホームで電車を待つ千景、蓮へメッセージを送る。

千景「…………」

〇モデルハウス・玄関 (夜)

歩いてくる千景、建物を見上げる。

千景「…………」

決心したようにインターホンを鳴らすと、中からスーツ姿の蓮。

蓮「おかえり」
千景「(周囲を見渡して) 入っていいの?」
蓮「もちろん」
千景「お邪魔します」
蓮「そこはただいま、だろう?」

〇住宅展示場・全景 (夜)

モデルハウスが展示場の一角とわかる。

〇モデルハウス・中 (夜)

広々としたアットホームなモダン造り。
緊張した面持ちの千景がやってくる。
蓮は何やら嬉しそう。

千景「すごい広いんだね」
蓮「だろう?」
千景「さすがに職場までは来たことなかったからビックリした」
蓮「こういうのも悪くないと思ってさ」
千景「急に会いたいなんて送ってごめん」
蓮「何で? 千景なら大歓迎だよ」

千景、何か言いたそう。
蓮も何やら同じ雰囲気である。

千景「あのさ蓮、実は私―」

と言いかけて突然、千景は蓮に抱きしめられる。

千景「ちょ、ちょっと!」
蓮「一緒に住まないか?」
千景「え?」
蓮「こういう素敵な家に」
千景「…………」
蓮「すごく言いにくいんだけど、古臭いって思われるかもしれないけど、千景には家庭に入ってほしいんだ」
千景「…………」
蓮「俺は仕事を頑張って、こういう家に家族みんなで住んで幸せに暮らしたい」
千景「それってもしかして―」
蓮「…………」
千景「蓮―」

千景、嬉しいが哀しい。

〇辛島家・リビング (夜)

友介が帰って来る。
腕組みした由美佳が待ち構えている。

由美佳「やっぱりバッドエンドだったか」
友介「そっちは見事グッドエンドみたいだね」
由美佳「おかげさまで。アンタこれで37敗目?」
友介「36」
由美佳「一度くらい朝帰りでハッピーエンドにしなきゃ」
友介「物事には順序があるから」
由美佳「でも男ならそんなのぶっ壊してイッパツかますくらいの気持ちで行かなきゃ」
友介「(ボソッと) 一発なら一緒に撃ったけど」
由美佳「そんな草食みたいな考えだからいつも相手にされないのよ」
友介「でも苗字に草は入ってない」
由美佳「ふざけてないで、さっさとその子とグッドエンドしちゃいなさい」
友介「良いんだよ、これで」
由美佳「は?」
友介「あの人がハッピーエンドならそれで」

〇道 (夜)

千景と蓮が歩いている。
満足気な蓮と浮かない顔の千景。

友介の声「あなたはそのままでいいんです」
千景「…………」

<第8話へつづく>

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