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〇尚美の務めるオフィス・休憩室

元気がない尚美、自販機でブラックコーヒーの缶を片手にうつむいている。
栄養ドリンクを片手に持った岩瀬圭子(37)がやってきて、

圭子「元気ないじゃん」
尚美「……そうですか?」
圭子「前からそんな感じだね。無意識に顔に出ちゃうタイプでしょ? もしかして、上手くいってないとか?」
尚美「…………」
圭子「図星か。でもね、尚ちゃんはまだマシ。アタシなんて12年暮らしてて別れたから」
尚美「ええ?」
圭子「男は同棲するとほとんど結婚しない。おかげで女の大事な20代を奪われたこと、今でも根に持ってるもん」
尚美「そうだったんですか……」
圭子「もうすぐ30でしょ? とっとと見切りつけて乗り換えちゃえば? って言ってもすぐに次が見つかるとも限らないか」
尚美「…………」
圭子「そもそもオトコとオンナは結婚前に一緒に住むもんじゃないんだよ。どうせ相手の悪いとこしか見えてこないから」
尚美「なるほど」
圭子「悪いことは言わない。先のこと考えな」

と言い終わって、圭子は栄養ドリンクを一気に飲み干す。
尚美も缶を開け、ブラックコーヒーをグイッと飲み始める。

孝介・沙知絵・彩音の声「(先行して) 乾杯!」

〇レストラン(夕)

栗山家の4人が座っている。
尚美、孝介と沙知絵そして妹の彩音(26)である。
和やかな孝介、沙知絵、彩音とは対照的に尚美だけどこか複雑な顔を浮かべている。

沙知絵「おかえりなさい、彩音」
彩音「またすぐ戻るけどね」
孝介「あっちではうまくやってるのか?」
彩音「まあまあかな」
沙知絵「もしものときは連絡ちょうだいね」

孝介がデジカメで撮ったフォトをプレビューしている。
中身は彩音の結婚式の様子。

彩音「あのね、まだ式から間もないんだよ?てか、恥ずかしいから見ないで」
孝介「娘の晴れ姿を見たくない父親がこの世のどこにいるんだ?」

フォトのスライドショー。
ウェディング姿の彩音。
礼服姿の孝介と沙知絵そして尚美。

尚美「…………」

尚美がグラスの水を飲もうとする。

孝介「さて、次は尚美の番か」

突然のことで尚美がむせる。

沙知絵「どうしたの?」
尚美「べ、別に」
孝介「照れてるんだな」
尚美「そうじゃないって」
沙知絵「じゃあ、妹に先を越されて焦ってるとか?」
尚美「そういうことでもないって」
彩音「カレシさんと長いんでしょ? そろそろ尚姉も結婚しちゃいなって」
尚美「あのね、何事にもタイミングってものがあるの」
沙知絵「そうやっていつもやるやるって言ってやらないくせに。ナオはいつもそう」
尚美「そんなことない! 私だって、その気になりゃ結婚くらい……」

尚美がグラスの水を一気に飲み干す。
孝介と沙知絵と彩音、顔を見合わせる。

〇駅・新幹線ホーム(夜)

彩音を見送る尚美、孝介、沙知絵。

〇同・在来線ホーム(夜)

尚美、電車を待っている。
見送りに来ている孝介と沙知絵。

尚美「気をつけてね」
沙知絵「ナオもね」
孝介「何かあったら連絡ちょうだい」
尚美「大丈夫。こっちは上手くやってる」
沙知絵「ナオは顔に出るから、すぐわかる」
尚美「余計なお世話」

電車接近のアナウンス。

尚美「(ボソッと) ふたりはいいね、とても仲良しで」
孝介・沙知絵「え?」
尚美「(我に返って) ううん、何でもない」
孝介・沙知絵「…………」

電車がやってきて、尚美が乗り込む。
ドアが閉まり走り出す電車。
ホームのふたりを見る尚美で―

〇路上(夜)

歩いている尚美、スマホを確認する。
駿からのメッセージ。
『今朝はごめん、連絡ちょうだい』。

尚美「(じっと見て) ……」

着信履歴をスクロールしていく尚美は『(柿崎)駿』をなぜかスルー。

尚美「もしもし……すいません、今からそちらへ伺ってもいいですか?」

<第3話へつづく>

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