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夜のハイウェイをタクシーが走る。
家事のハジメこと梶野ハジメはそのタクシーの中にいる。

彼は大急ぎで向かっていた。

そう、かつて自分が住んでいた町へ。

家事のハジメさんがログインしました。

どうも、家事のハジメこと梶野ハジメです。

今回は車の中から失礼します。
いよいよ物語は佳境へ突入です!

ドラマならば45分くらい過ぎたクライマックスシーンといったところでしょうか。

黄門様なら格さんが印籠を出したり、
暴れん坊な上様なら華麗に敵を倒したり、
仕置人なら許せぬ悪人達を成敗したり、

……え?何のことかわからないって?

全部オレの好きな時代劇ですよ。
再放送、ついつい見ちゃうんです♪

ん?いくつか疑問があるって?

なぜ黄門様自身が印籠を出さないか?
なぜ暴れん坊な上様は峰打ちなのか?
なぜ仕事人じゃなく仕置人なのか?

上のふたつの答えはわかりません(汗)
仕置人の件はオレの好きな作品なので――

失礼しました。
とにかくオレは自分の心の中にある最後の問題を解決しなければなりません!

実家を目指していざ出陣!

家事のハジメさんがログオフしました。

同時刻、病院の霊安室。
老女の亡骸が横たわっている。
その老女は義父・芯太郎の実母である。
死に化粧が施されているからか、顔や体には色やツヤがうかがえる。

芯太郎が亡き母を見つめている。

勝代の声「あなた」

勝代がやってくる。

芯太郎「呼び出して悪かった」
勝代「ううん」

勝代が芯太郎の亡き母を見て、

勝代「とても安らかな顔ね」
芯太郎「エンバーミングしてもらった」
勝代「まだ生きてるみたい」
芯太郎「最後の親孝行だよ」
勝代「え?」
芯太郎「生前、迷惑かけたから」
勝代「実は一度だけね――」
芯太郎「ん?」
勝代「あなたの御両親に会いに行ったことがあるの」
芯太郎「それのいつの話?」
勝代「もうずっと昔。もちろんこちらから正体は明かさなかったけど」
芯太郎「お前らしいや」
勝代「ふたりとも親切で安心した」
芯太郎「そうかな?親父は昔気質な人間だから面倒くさかったと思うぞ」
勝代「お客の前では別人みたいだった」
芯太郎「意外だね」
勝代「でも女の勘には敵わなかったけど」
芯太郎「お袋は気づいてたんだね」
勝代「そう」
芯太郎「さすがのお前にも勝てないものがあるんだな」
勝代「うるさい」
芯太郎「ふふふ」
勝代「お義母さんが言ってた。婿入りはあの子が自分で決めたことだから、私たちはただ見守るだけだって」
芯太郎「…………」
勝代「なんか今日のハジメさんと両親を見てたら、思い出しちゃって」
芯太郎「…………」

芯太郎と勝代が合掌する。

一方のハジメはというと……

タクシーが目的地に着く。
目の前には実家の若宮家。
降り立つハジメ。

ハジメ「…………」

家の灯りは点いている。
ハジメがインターホンを鳴らす。

圭子の声「はい」
ハジメ「……オレだけど」

母の圭子が玄関のドアを開ける。

圭子「ハジメ?どうして?!」
ハジメ「ちょっとね」

ハジメが入って行く。

圭子「ハジメ!」

若宮家のリビング。
父の亮助がテレビを観ている。

亮助「こんな時間にお客さんって――」
ハジメ「ただいま」
亮助「……何の用だ」

圭子が慌ててやってくる。

亮助「戻って来るなと言ったはずだ」
ハジメ「すぐ帰るよ。言うこと言ったら」
亮助「は?」
ハジメ「父さんは誤解してる」
亮助「誤解?何をだ?」
ハジメ「婿入りも主夫も全部だよ」
亮助「俺は何も誤解していない」
ハジメ「いや、現にオレを誤解してるじゃないか」
亮助「何だと?!俺たちの反対を振り切って家を出て行ったのはお前じゃないか!」
ハジメ「わかってる。どれだけ向こう見ずで軽はずみな行動だったか反省してる」
亮助「今さら謝ったって済む話じゃない」
ハジメ「まったくその通りだよ」
亮助「上から偉そうに言うんじゃない!」
ハジメ「これまでずっと自分に言い訳してたんだ。仕事の忙しさで、家のことずっと親に任せっきりで。だから――」
亮助「主夫になったとでもいうのか?」
ハジメ「……それもある」
亮助「ずっと勤めた仕事を辞めてまでか」
ハジメ「主夫も大切な仕事なんだ。家族ひとりひとりを思いやる素敵な仕事なんだ。この数か月でいろんなことをあの家から学んだ。婿入りするってことがどれだけ大変なことかを知った。いや、まだほんの少ししかわかってないってことも自覚してる」
亮助「…………」
ハジメ「父さんは婿に入ったら向こうの家のルールに従ってしっかりと気を遣え、そう言ったよね?」
亮助「…………」
ハジメ「その意味がよくわかったよ。だけどこれは自分で決めたことだから最後までやり遂げたい。これからも縁の下の力持ちとして梶野家を支えていきたい。だから今日でここへ来るのは最後にする」
亮助「言いたいことはそれだけか」
ハジメ「父さん」

亮助が行ってしまう。

ハジメ「父さん!」
圭子「ああなっちゃうと今日は難しいわね」
ハジメ「…………」
圭子「朝まで部屋から出てこないコースだ」
ハジメ「……だよね」
圭子「さっき伝えたのよ」
ハジメ「え?」
圭子「今日向こうのお義父さんから教えてもらったこと、パパに全部」
ハジメ「…………」
圭子「でもあの人、頑固だから」
ハジメ「……ありがとう」
圭子「いえいえ」

圭子が時計を見て、

圭子「もうこんな時間だから今日は泊まっていけば?」
ハジメ「外にタクシー待たせてるから」
圭子「布団、余分に干しちゃったの」
ハジメ「いや、でも――」
圭子「今日は若宮ハジメに戻りなさい」
ハジメ「わかったよ」
圭子「じゃあ用意するね」
ハジメ「でもその前にひとつだけ」

ハジメがスマホを取り出して、

ハジメ「あ、もしもし実乃里?」

婿入り主夫、久しぶりの帰省だった。

<episode29へつづく>

どうも、家事のハジメこと梶野ハジメです。
いつも読んで頂き、感謝感激です♪
前回までのブログは下のリンクから読めますので、どうぞご覧ください!
勝手にサブタイトルも付けました(笑)
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登場人物
プロローグ
episode1 すべての始まり
episode2 ハイスピード草むしり
episode3 覚えてない、覚えてる
episode4 コーンフレークは硬めで
episode5 親の言い分 子の言い分
episode6 招かれざるヤツ現る!
episode7 オレの頭の上の避雷針
episode8 迫られる二者択一
episode9 義父の過去と実母のカレー
episode10 新婚写真のおもひで
episode11 妻と義母の食欲は成人男性並み
episode12 ハジメが倒れる3日前
episode13 罪滅ぼしの徹夜
episode14 点滴と家族と夕暮れと
episode15 義父からの看病
episode16 慣れない手つきで大ヤケド
episode17 主夫宣告
episode18 梶野ハジメ改め家事のハジメ
episode19 家事と筋トレの関係性
episode20 実母は知っていた
episode21 義理の親子ゲンカ勃発
episode22 あの日の選択は正しかったのか
episode23 予期せぬ誘惑
episode24 婿入りの掟
episode25 最後の出勤日
episode26 梶野家、朝の大パニック
episode27 若宮家の両親in梶野家

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