テーマは物語からのメッセージ-シナリオコラム⑥-
タクシーを経て、ファミレスに席を移した物書き・スダと記者・宇加賀井益代。
益代はスダの連載ブログを読んでいる。
宇加賀井益代(うかがい ますよ)の
「あたしの心を埋められるのは原稿用紙のマス目だけ」
益代「ちょっとちょっと!」
スダ「はい?」
益代「今回のブログ、冠が取れてるじゃない」
スダ「はい?」
益代「物書き・スダ×記者・宇加賀井益代の部分よ! これじゃこの記事がコラムだってことがわからないじゃないの」
スダ「開設から1か月、変化球を投げたくなって」
益代「あのね」
スダ「前置きが長いのと、記事のテーマが何なのかわからないと思ったので」
益代「それはたしかにそうだけど」
スダ「途中まで同じ記事だと思われたくないってのもあって」
益代「トップ画像が違うから大丈夫でしょ」
スダ「あとはSEO対策のためもあって」
益代「……もしもし?」
スダ「検索ヒット数や閲覧数も増やさないと」
益代「どんどん腹黒さが出てきてるぞ、おい!」
スダ「(ハッとして) すいません」
益代「どんどんテーマから外れてるし!」
スダ「え?」
益代「これはシナリオについてのコラムなの。ホームページ運営の話なんかしたら読者が離れていっちゃうでしょ!」
スダ「そうですね。さっきのように、テーマがブレると興ざめされてしまいます」
益代「(ハッとして)まさかアンタ――」
スダ「(フッと笑って)」
益代「さっきのはぜんぶ計算だったのね」
スダ「すいません」
益代「じゃあ今回の質問、行くよ」
スダ「お願いします」
益代「宇加賀井益代が伺いますよ」
スダ「何だろう、この安心感」
ずばりテーマって何?
スダ「ずばり物語からのメッセージです」
『テーマとは物語からのメッセージ』
スダ「テーマは物語の中心にある軸みたいなもので、これが無いと作品が結末を迎えた時に観た側は作り手が何を言いたかったのかわからないまま消化不良になってしまいます」
益代「そっか」
スダ「たとえば刑事ドラマならば悪いことをしてはいけない、医療ドラマならば命を助けることが何より大切だ、恋愛ドラマならば愛することがすべてなどです。映画やドラマを観て、分析してみることをオススメします」
益代「ほうほう」
スダ「ちなみに前回連載した作品もテーマがあります」
益代「いまいちダメだろう?」
スダ「今市為太郎です」
10年目の研修社員・今市為太郎
テーマ《自分を大切にして生きてほしい》
益代「つまり作者からのメッセージでもあるワケね」
スダ「さすが! その通りです」
益代「へへへ」
スダ「テーマは最後に伝えるものなので、物語の始まりはその逆である必要があります」
益代「どういうこと?」
スダ「つまりこの作品のテーマが”自分を大切にして生きる”ならば、物語の始まりは”主人公が自分を犠牲にしている”ということになります」
益代「ほうほう」
スダ「その証拠に、前半はネガティブな表現が目立ちますが後半はポジティブな表現に変わっています」
益代「それはさすがに気がつかなかったわ」
スダ「自分を大切にせず、ずっと周囲からの評価が自分のすべてだと思いながら人生を過ごしているといずれ大変なことになります。日々同じように生きづらい思いをしている人たちの支えになればと思い書きました」
益代「ということはまさかあなたも……」
スダ「ええ」
益代「そうだったの」
スダ「これからは自分を大切にします」
益代がコーヒーを飲みほして、
益代「あ、もうひとついい?」
スダ「はい?」
益代「今回の作品なんだけどさ」
スダ「今市為太郎のことですか?」
益代「うん」
スダ「それが何か?」
益代「シナリオの書き方じゃないよね」
スダ「シナリオ風小説にしてみました」
益代「漁師風パスタっぽく言うな」
スダ「変化球投げてみたくて」
益代「いくらなんでも投げ過ぎだろ!」
to be continued……
<今回のおさらい>
・テーマは物語の軸となるもの
・映画やドラマのテーマを分析する
・シナリオ風小説もはじめました
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