シナリオ「仲良し両親が別居した日」最終話
〇街(夜) 尚美が走っている。 駿の声「尚美!」 尚美「!」 尚美、声がした方へ振り返る。 追ってくる駿の姿に驚きを隠せない。 尚美「……何で?」 駿「(息を切らして) 間に合った」 尚美「何でここにいるのよ?」 駿「(息を切らして) 何だっていいだろ」 尚美「(ハッとして) まさかあの場に?」 駿「(息を...
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〇街(夜) 尚美が走っている。 駿の声「尚美!」 尚美「!」 尚美、声がした方へ振り返る。 追ってくる駿の姿に驚きを隠せない。 尚美「……何で?」 駿「(息を切らして) 間に合った」 尚美「何でここにいるのよ?」 駿「(息を切らして) 何だっていいだろ」 尚美「(ハッとして) まさかあの場に?」 駿「(息を...
〇栗山家・前(朝) 駿、インターホンを押す。 おしゃれな格好の孝介が出て来て、 孝介「あ、シュン君」 駿「先日のお詫びをしようと思いまして。実は先ほど―」 孝介「ごめんね、ちょっと用事があって」 駿「え? お出かけですか?」 孝介「そうなんだよ。なので、また後でね」 ドアが閉められる。 駿、不審に思って― ...
〇電車の中(夕) 尚美、浮かない顔で窓の外をずっと眺めている。 駿の声「こないだはその……ごめん」 近くに座っているカップルが仲良くいちゃついている。 電車が駅に到着し、ドアが開く。 駿の声「実は伝えたいことがあって―」 駅メロが鳴る。 駿の声「もう、終わりにしたいんだ」 直後の部分が車のクラクションで何を...
〇同・リビング 尚美が周囲を見回す。 彩音、お茶の用意をしている。 テレビの天気予報、夜は雨らしい。 彩音と旦那と思しき男性の写真が並ぶ。 尚美「公務員だもんね、旦那さん」 彩音「そう」 尚美「いいなぁ。ずっと安泰で」 彩音「何言ってんの、数年ごとに異動があるからいろいろ大変だってば」 尚美「ふ~ん」 彩音...
〇同・リビング 孝介が慣れた手つきでお茶を淹れる。 駿、室内を見渡している。 孝介「大変だろう?」 駿「はい?」 孝介「尚美だよ。いろいろと迷惑をかけてるんじゃないかと思って」 駿「そんなことは……ないです」 孝介「なら良いんだけど」 駿「お二人の事は尚美さんから聞いてます」 孝介「(手を止めて) え?」 ...
〇アパート・駿の部屋(朝) 駿が料理をしている。 傍らに空の弁当箱。 弁当箱に料理を詰めて行く駿だが、飾りつけがあまり上手くない。 尚美の声「いいのいいの、やりたくてやってることだもん」 駿「…………」 〇尚美のオフィス・休憩室 自販機でブラックコーヒーを買う尚美、 一口飲んでため息ひとつ。 尚美の視線の先...
〇アパート・沙知絵の部屋(夕) 沙知絵が荷物を整理している。 傍らに尚美がいる。 尚美「おかしいでしょ!」 沙知絵「別におかしくはないけど」 尚美「どう考えたっておかしいでしょ? 子どもに内緒で別居の計画なんかしてたの?」 沙知絵「べつに内緒には……ああ、してたわ」 尚美「こっちは真剣に聞いてるの! それに...
〇栗山家・リビング(夜) お茶を淹れている孝介。 パソコンで仕事をしている沙知絵。 静かなひとときが流れている。 孝介、お茶を沙知絵に差し入れる。 アイコンタクトを交わすふたり。 お互いだけがわかる無言の会話。 〇アパート・尚美の部屋の前(早朝) 欠伸をしながら尚美がやってくる。 玄関前に人影。 駿だ。 尚...
〇尚美の務めるオフィス・休憩室 元気がない尚美、自販機でブラックコーヒーの缶を片手にうつむいている。 栄養ドリンクを片手に持った岩瀬圭子(37)がやってきて、 圭子「元気ないじゃん」 尚美「……そうですか?」 圭子「前からそんな感じだね。無意識に顔に出ちゃうタイプでしょ? もしかして、上手くいってないとか?...
〇栗山家近くの道 うつむき歩く栗山尚美(29)、元気がない。 と、急に角から引っ越し業者のトラックが飛び出してくる!! 驚く尚美だが物陰で何とかやり過ごす。 〇栗山家・孝介の部屋 笑顔で並ぶ夫婦の記念写真の数々はどれも幸せそうだ。 栗山孝介(57)がいて、パソコンで女性服のデザインをしている。 尚美がやって...