雷ストレンジャーズ『リーグ・オブ・ユース』観劇
舞台鑑賞強化月間第3弾。
2019年9月17日。
東京は下北沢のシアター711にて。
雷ストレンジャーズ公演
『リーグ・オブ・ユース 青年同盟』観劇
作/ヘンリック・イプセン
上演台本・演出/小山ゆうな 弦巻星之介
霜山多加志
松村良太
平山美穂
谷口翔太
伊東弘美
石村みか
北澤雅章
野々山貴之
作家・イプセンが唯一喜劇として書いた本作。
物語の舞台は南ノルウェーのある町の鉄工場。
この町での有力者は工場主のブラッツベルクと地主のモンセン夫人。
誰でも自由に演説して良い独立記念日のパーティーで、ステンスゴール青年がブラッツベルクを批判する演説をする。
彼の演説は大成功するが、聞いていたブラッツベルクはこの批判がモンセン夫人に向けられていると勘違いしてしまう。
やがてステンスゴールは町の人間たちと同盟を組み、自身の出世を目論んで様々な計略をめぐらしていくが、最後の最後で思わぬしっぺ返しをくらい失脚するというもの。
この舞台はとてもすごかった。
何と言っても登場人物の多さだ。
ところがフライヤーには計8名。
果たしてどうするのか?
答えは開演してすぐにわかった。
それぞれが役を掛け持ちして演じているのだ。
なかには何役も担当される方もいるので、その都度はけて衣装を変えて芝居も変えるというプロフェッショナルぶりを観ることが出来た。
また舞台上にはたくさんの画用紙に書かれた顔が壁に貼られている。
何に使うのかと思っていたら、キャストが初登場したときにわかりやすく人物紹介をするため。
また所狭しと並べられたペットボトルにも1本1本に似顔絵が貼りつけられていて、これは役者が両手に持つことで大衆を表現していたのだ。
終演後、俳優の谷口翔太さんにお会いした。
谷口さんは前回も雷ストレンジャーズの公演に出演されていた。

あれから1年半。
今回の作品ではステンスゴール役、つまり本編の主人公を担当された。
ステンスゴールは己の出世のために生きるキャラなのだがどこか憎めない。
それは周りの意見を素直に飲み込んですぐさま行動に移したり、その場で言わなくてもいいことを正直に言ってしまったりするところにあるのだと思う。
現にラストで失脚した後も、背後の物陰からこっそり顔を見せていてまだまだ物語が終わらないことを暗示していた。
それらは谷口さんによる良い塩梅の味付けによるものだ。
かつてお世話になった作家チーム主宰の先輩ライターが主催した飲み会で知り合って早5年が経つ。
同い年ということもあり、光栄なことに現在も交流が続いている。
僕は谷口さんが出演されるドラマや映画は必ず拝見する。
『永遠の0』では島根一等兵。
『シン・ゴジラ』では袖原泰司自衛官。
『99.9 season2』では選挙事務所の芹沢さん。
『A LIFE 愛しき人』では小児科医の茶沢先生。
『義母と娘のブルース』ではパン屋の米田さん。
『今日から俺は!!』では不良生徒の谷口誠くん。
『集団左遷!!』では三友銀行蒲田支店の宮田学。
ほかにも多数の作品に出演されているが、すべてにおいてインパクトが強い。
何と言っても振り幅の広さ、引き出しの多さ。
ぜんぶ印象に残り、決して忘れさせない。
常に斬新なお芝居を魅せてくださるのだ。
出演情報が解禁されるたびに次はどんな役なのかが楽しみで、僕の家族みんなも谷口さんのファンである。
普段の彼は落ち着いた渋い声で、フランクな雰囲気を醸し出している。
舞台関係者の方々とも仲良しだ。
ところがひとたび舞台に上がると……
引用元:雷ストレンジャーズ様
このカッコ良さである。
キリッとした顔、透き通る声、キレのある動き、とても心地よいギャップを客席に魅せてくれるのだ。
常に「芝居とは何か」を追求しているストイックな方で、同い年の僕にないものをたくさん持っている。
共演者との距離感もうまい。
遠方と近方の声のかけ方の違いも熟知しており、表情の作り方も実に見事だった。
谷口さんをはじめこういう素敵な役者さんたちが今の時代に存在し、そして会って話せるということがどれほど幸せなことか。
次回の公演も心から楽しみにしている。
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