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本シナリオは役名の記載においてネタバレを含んでおります。
あらかじめご了承くださいませ。

SE 街コン会場内の声

司会者「(マイクの音声で)お待たせしました。それでは本日、最後のカップルを発表いたしまーす!」

さくらM「私の名は『しの』。わけあってそう名乗っている。日々、東京都内のあちこちで行われる男女同士の顔合わせ。いわゆる、街コン。私はカップルが成立する瞬間を会場の客席から見つめている」

司会者「(マイクの音声で)男性は……5番の方。そして、女性は……2番の方。おめでとうございます!」

SE 拍手の音

さくらM「残念ながら私は今回も選ばれなかった。それもそのはず、そもそもカードに好みの男性の番号自体書いていないのだから。え? 良いオトコがいない? そんなことはない。お話ししたなかで素敵な男性は何人かいた。ただ、私よりも似合う女性が他にいた。それだけのこと」

司会者「(マイクの音声で)今回はなーんと5組もカップルが成立いたしました。今宵の出会いがどうかステキなふたりの未来へと続きますように」

さくらM「立食パーティーだったため、いろいろこそこそ動いた甲斐があった。見立て通り、途中の4組はうまくいくと思った。だが、最後の1組だけは意外だった。あの地味な男性にあのオシャレな女性はちょっとヘンな感じがする。いや、決して見た目で決めつけてはいない。長年、この仕事をしてると感じる”言語化できない何か”だ」

成 川「(自信なさげに)よ、よろしくお願いします」
勧誘女「(優しく)こちらこそ」

さくらM「これはもしかしたら……直感が私にそう囁いた。ゆえにとっさにふたりのところへ向かおうとしたのだが―」

司会者「『しの』ちゃん、きょうもありがとね。君のおかげだよ」
さくら「いえいえ」
司会者「次回もよろしくね」

さくらM「もうおわかりだろう、私はサクラ。コンパのサクラ。そしてホントの名前もさくら。さくらがサクラをやってるなんてダジャレ、言うつもりもない。ここでの私の仕事は街コンの参加者に扮して男女間の空気を盛り上げ、いかに相性の良いカップルを成立させるか」

SE 大雨

司会者「(マイクの音声で)外は大雨ですので傘を忘れぬよう、お気をつけてお帰り下さい」

さくらM「ふと視線を戻すと、あのふたりはもういなかった。何事もなければいいけど……この大雨の夜の出来事がのちにあんなことを引き起こすなんて、このときの私は知る由もなかった」

おふたり「オリジナルボイスドラマ『コンパのサクラ』」
篠田さん「出演 篠田美沙子」
梅田さん「梅田洋輔」
おふたり「脚本 須田剛史」

大雨のSEがフェードアウトしていって―

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