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〇忠男の過去2・路地裏

傷だらけの忠男の目の前、何者かが現れて悪げな男たちを払いのける。
惨めな姿を愛しの麻衣に晒してしまい、忠男少年はこの上なく情けない。

〇もとの寝室 (早朝・日替わり)

忠男がハッと目を開ける。
小鳥のさえずり。
いつの間にか眠っていたようだ。

〇礼香の住む部屋 (朝・日替わり)

キッチンで手際よく料理する忠男。
礼香はスーツ姿でメイクしている。

礼香「いい匂い」
忠男「でしょ」

テーブルの上に並ぶ洋食。

礼香「いただきます」

礼香が美味しそうに食べる。
忠男、嬉しい。

礼香「今日は会議で遅くなるかも。夕飯はラップしといて」
忠男「うん」
礼香「どっか出かけるの?」
忠男「一件寄ってからパチンコ」
礼香「気をつけてね」
忠男「うん」

礼香が財布から万札を何枚か出して、

礼香「これ使って」
忠男「いや、こないだもらったばっかだし」
礼香「いいのいいの」

無理やりお金を持たされる忠男。

忠男「でも―」
礼香「忠男の役に立ちたいの」
忠男「…………」
礼香「行ってきます」

出て行く礼香。
忠男、握らされた万札を見て―

〇部屋を掃除する忠男 (朝)

慣れた様子で掃除機をかけたり、洗濯物を干したり、トイレ掃除をしたり―

〇病院・外観

お昼前。

〇同・真田の部屋・前

忠男がやってきてドアをノックする。
が、反応がないためにおそるおそる入って行く。
忠男の一連の様子を女医・三沢しおり(51)が見ている。

〇同・内

忠男、室内の光景に目を疑う。
いろんな種類の寄生虫が各々の瓶に入れられ飾られ、まるで博物館のよう。
忠男、匂いを嗅ぐ。

忠男「……炒め物?」

奥に進むと換気扇の下、真田がコンパクトコンロで料理している。

忠男「な、何やってるんですか?」
真田「おお! 君は昨日の―」
忠男「ども」
真田「もうすぐ出来上がるんだ、食べよう」
忠男「いや、食べてきたばかりなんで」
真田「遠慮はいらないよ」
忠男「カンベンしてください」
真田「身体に良いのに」

真田という男の見た目の割に野菜炒めの盛り付けはプロ並み。
おまけに豆の煮つけや果物まで揃っていて豪華なラインナップ。

忠男「……うまそう」
真田「来客用の箸もあるよ」
忠男「やめときます」
真田「美味しいのに」

真田、丁寧によく噛んで食べていく。

真田「野菜や豆類は抵抗力を上げてくれる。牛乳などの乳製品もお勧めだね」
忠男「は、はあ」
真田「お腹の子もさぞ喜んでくれるだろう」
忠男「は? お腹の子? え、センセイ妊娠してるんですか?」
真田「捉え方によってはそうとも言える」
忠男「(どういうことかわからない顔)」

真田、サナダムシという白く細長い寄生虫が入った瓶を見せて、

真田「実はこのサナダムシという子と一緒に暮らしてるんだよ。暮らすというよりは僕のお腹を間借りさせてるといったほうが合っているかな」
忠男「この子ってまさか―」
真田「そう、そのまさかだよ」
忠男「ええええええええええええ!!」

<第4話へつづく>

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