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〇スイーツカフェ

激辛ラーメン屋のちょうど相向かいにあるキレイなテナントの二階部分。
お昼時で女性たちが行列をなしている。
接客している辛島友介(28)、ガタイが良くて割とコワモテだが笑顔がステキで身なりは清潔感に溢れている。
姉の由美佳(33)とその友人たち、亜衣とめぐみ。

亜衣「ごちそうさま」
めぐみ「めっちゃおいしかった」
由美佳「(ドヤ顔で) どういたしまして」
友介「姉さん (とツッコんで)。(亜衣とめぐみに) ありがとうございました」

一瞬匂いを嗅ぐ友介。

友介「(亜衣に) 素敵な香水ですね。***の今年の新作ですね? 確か都内の直営店のみ先行販売されたばかりで一般販売はまだのはず。とても魅力的な香りです」
亜衣「すっごい! 当たってるぅ!」
めぐみ「ずるーい、アタシもアタシも」
友介「そのメガネはヴィンテージを復刻させた***のクラシックモデルで、きょうの髪色にとてもマッチしてます」
めぐみ「こんなにわかる人いるんだ」
由美佳「(友介風に) いえいえ、それほどでも」
友介「姉さん (とツッコむ)」
めぐみ「すっごい! でもなんかここまでわかると女友だちといるみたいね」
友介「…………」
亜衣「いつもスイーツとかファッションとかしゃべっててもぜんぜん飽きないし」
めぐみ「もしかして友ちゃんってそっち系だったりして?」
由美佳「(友介風に) わかりますか?」
友介「(ムッとして) 姉さん!」
由美佳「冗談で~す」
友介「またお越しください」

由美佳たちを見送ってホールに戻ろうとする友介、ふと見下ろすと浮かない顔をしながらラーメン屋から出てくる千景に気づく。

友介「…………」

歩いていく千景を目で追う友介で―

〇千景の職場・オフィス

夕方前の小休憩、グループを組んで会話しながら出て行く女性スタッフたち。
千景はコーヒーを飲みながらパソコンとにらめっこ。傍らのスマホが鳴る。
里音からのメッセージ。

千景の声「(先行して) デートの付き添い?!」

〇激辛ラーメン専門店 (夕)

カウンターの千景と里音。

里音「(深々とおじぎ) このとーり!!」
千景「何で? 大事なデートなんだからひとりで行けばいいじゃない」
里音「そこをなんとか!」
千景「ムリムリムリムリ」
里音「いやいやいやいや」
千景「いきなり言われてもこっちだってこれから予定入ってるし」
里音「近くの席に座ってくれるだけでいいんですって。ウチ、むかしっからオトコが絡むとあまりいいコトないんで」
千景「だから辛友の私にその場を見守ってもらおうと?」
里音「さすがチカ姉!」
千景「あのね、私は神様じゃないの」
里音「ウチからすれば女神さまさまっす」
千景「おだててもダメだって」
里音「きょうで3度目のデートなんすよぉ。なにかあったりするかもだし……でもそういうのってちゃんとステップを踏んでからにしたいし」
千景「あんた、意外とピュアなんだね」
里音「ルックスで決めつけないでほしいっす」
千景「ごめんごめん、でもムリだって」
里音「(ムスッとして) そーですか

里音が何かの紙切れをちらつかす。
見逃さない千景。

千景「それ何?」
里音「べっつに見せるほどのモンでも」
千景「見せなって」

辛さ倍増トッピングサービス券である。
里音がニヤリ。千景は唾を飲み込む。
さらに枚数を増やしていく里音。

千景「ずるい」
里音「へへへへ」
千景「店長に色目でも使ったの?」
里音「ンなワケないっしょ。 ちゃんとウチが食べて地道に溜めたものっす!」
千景「とにかく行けないから」

<第3話へつづく>

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