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ハジメ「ただいま戻りました」

スーパーでの買い物を終え、梶野家に戻ったハジメ。
義父・芯太郎が待ち構えている。

花婿の主夫修行は今日も忙しい。

芯太郎「では確認するよ」
ハジメ「お願いします」

その名も、超!!徹底的チェックだ。
梶野家主夫代々伝統行事その17である。

メモと買い物袋の中身が合っているか隈なくチェックする芯太郎。

にんじん 3本入り
10個入り1パック
キャベツ 1玉
トマト 2つ
ひょっとこ納豆 2つ
・もやし 2袋
とうもろこし 2本



カップ焼きそば 2つ

※カップ焼きそばは芯太郎の夜食

芯太郎「よく引っかからなかったね。このメーカーの納豆はパッケージデザインが他社と似ていて、間違える人が多いのに」
ハジメ「恐れ入ります」
芯太郎「こんなにも飲み込みが早いなんて」
ハジメ「(ボソッと)会社に比べれば全然」
芯太郎「何か言ったかい?」
ハジメ「いえ、何も」
芯太郎「ところで体調はどうだい?」
ハジメ「おかげさまで何とか」

家事のハジメさんがログインしました。

家事のハジメこと梶野ハジメです。

オレが過労で入院してから数日。
病室のベッドの上で天井を見上げる日々。

義理の家族への感謝そして実の家族への罪悪感が頭を掻きまわしていました。

入院をしてひとつ発見がありました。

それはほんの数日歩かないだけで、足ってすぐ鈍るってこと。
繋がれた点滴のキャスターを転がしながら歩くのは大変なもので。

正直、足には自信がありました。
これまで早朝出勤深夜退勤というハードスケジュールを送っていたからです。
実家から駅、駅から会社そして外回り。

しかし、とても体は正直なもので……

いかに健康が大切なことか、いかに毎日を幸せに暮らしていたかを実感しました。

さて、今回からこの物語の核心となる部分へ迫っていきます。
オレがなぜ主夫と関わることになったのか?
これからお話ししていきましょう。

退院してから数日後の朝。
ベッドで安静にしているハジメ。
スーツ姿の妻・実乃里が来て、

実乃里「おはよ」
ハジメ「おはよう」
実乃里「どう?」
ハジメ「まだ歩くのもひと苦労だよ」
実乃里「そっか」

ノックの音。

芯太郎の声「入るよ」

芯太郎が朝食を持ってやって来る。

ハジメ「わざわざすいません」
芯太郎「これも仕事だから」
実乃里「じゃ、行くね」
ハジメ「気をつけて」
芯太郎「忘れ物はないか?」
実乃里「うん」

実乃里がハジメに軽く手を振って部屋を後にする。
ハジメは微笑んで見送る。

芯太郎「病院食よりは美味しいかと」
ハジメ「いただきます」

ハジメが一口食べる。

芯太郎「お口に合えば良いんだけど」
ハジメ「とても美味しいです」
芯太郎「ありがとう」
ハジメ「――何だか変な気分です」
芯太郎「ん?」
ハジメ「お義父さんに看病してもらうなんて」
芯太郎「…………」

ハジメがもう一口。
芯太郎が複雑な顔を浮かべて、

芯太郎「ハジメ君」
ハジメ「はい?」
芯太郎「実はその……いや、何でもない」
ハジメ「え、何ですか?」
芯太郎「また後で話すよ」
ハジメ「そうですか」
芯太郎「今は忘れてくれ」
ハジメ「ごちそうさまでした」

芯太郎が食事を下げる。

芯太郎「だいぶ食べられるようになったね」
ハジメ「仕事が待ってますから」
芯太郎「――そうか。ゆっくり休むんだよ」
ハジメ「ありがとうございます」

芯太郎が静かにドアを閉める。
ハジメ、バッグの中から何かを取り出す。

両親と撮った3ショットの写真だ。

実は実家から持ってきていたのだ。
申し訳なさそうな顔を浮かべるハジメ、ただただじっと見つめている。

<episode16へつづく>

どうも、家事のハジメこと梶野ハジメです。
いつも読んで頂き、感謝感激です♪
前回までのブログは下のリンクから読めますので、どうぞご覧ください!
勝手にサブタイトルも付けました(笑)

登場人物
プロローグ
episode1 すべての始まり
episode2 ハイスピード草むしり
episode3 覚えてない、覚えてる
episode4 コーンフレークは硬めで
episode5 親の言い分 子の言い分
episode6 招かれざるヤツ現る!
episode7 オレの頭の上の避雷針
episode8 迫られる二者択一
episode9 義父の過去と実母のカレー
episode10 新婚写真のおもひで
episode11 妻と義母の食欲は成人男性並み
episode12 ハジメが倒れる3日前
episode13 罪滅ぼしの徹夜
episode14 点滴と家族と夕暮れと

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