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深夜のリビングにて。
家事のハジメこと梶野ハジメが愛する妻・実乃里にお茶を出す。

ハジメ「お疲れさま」
実乃里「ありがと(と一口)」
ハジメ「どう?」
実乃里「うん、おいしい!」
ハジメ「よかった」
実乃里「父さんの味に似てきたね」
ハジメ「うれしいやら哀しいやら」
実乃里「もちろんほめ言葉」
ハジメ「そっか」

ハジメがカレンダーを見て、

ハジメ「数ヶ月前の昨日だったよね」
実乃里「え?」
ハジメ「実乃里とここに来たの。もう日付変わっちゃったけど」
実乃里「よく覚えてるね」
ハジメ「ふつう逆なんだけど(笑)」
実乃里「ねえ見て見て!」
ハジメ「ん?」

茶碗の中、茶柱が立っている。
ふたりが顔を見合って、

実乃里「これからもよろしくね」
ハジメ「こちらこそ」
実乃里「もう寝るわ」
ハジメ「オレも洗濯物畳んだら寝る」
実乃里「じゃあ先行ってるね」
ハジメ「おう」

実乃里がリビングを後にする。
それを見計らったようにハジメがパソコンへ向かう。

家事のハジメさんがログインしました。

どうも、家事のハジメです。
夫婦水入らずの素敵なひととき。
いやはや心が和みます。

さて、今回は家内とこの家へ挨拶しに来た日のことをお話しましょう。

オレの住む地方のベッドタウンとは違い、彼女の実家は東京の高級住宅地。
出会った当初は互いの家の格差に悩んだりもしましたが、最後はやはり相手の人となりです。
その日は彼女の家の最寄り駅で待ち合わせでした。

ハジメ「おまたせ」
実乃里「うん」
ハジメ「じゃ、行こうか」
実乃里「ちょっと待って」
ハジメ「どうした?」
実乃里「……ううん、何でもない」
ハジメ「気になるんだけど」
実乃里「実はウチの家さ――」
ハジメ「あ、バスが来た!」

バス停へ走っていくハジメ。
実乃里は何か言いたそうで……

やがてこの梶野家に着いたのですが、
大きな門構えで豪邸を想像させました。

実乃里「ただいま」
ハジメ「お邪魔します」

と、ハジメの目にソファにどっしりと腰かけている女性が入って来る。
実乃里の母・勝代である。
只者ではないオーラが出ている。

勝代「あら、いらっしゃい」
ハジメ「は、は、はじめまして!」
勝代「あなた、見えたわよ」

勝代の声を待っていたかのように、
キッチンからヒョロッと小柄な男が出て来る。

エプロン姿の芯太郎だ。

芯太郎「君が実乃里の―」
ハジメ「若宮です。若宮ハジメと申します」
芯太郎「初めまして」
ハジメ「よろしくお願いします」
芯太郎「こちらこそ」
勝代「あなた」
芯太郎「わかってます」

芯太郎がキッチンへ引っ込む。

実乃里「ハジメくん」
ハジメ「ん?」
実乃里「実はね、ウチの両親――」
芯太郎の声「若宮君はコーヒーと紅茶、どっちがいいかな?」
ハジメ「あ、お構いなく」

これが義理の両親との初めての出会い。
彼女の家へ挨拶に行くのは男なら誰しも経験することでしょう。

しかしこの家の内情をこの時点のオレは知る由もありませんでした。

家事のハジメさんがログオフしました。

夫婦の寝室にて。
ハジメが寝ようとすると、

実乃里「ハジメくん」
ハジメ「まだ起きてたの?」
実乃里「後悔……してない?」
ハジメ「え?」
実乃里「ここへ来たこと」
ハジメ「…………」
実乃里「あの日、その……この家のことをちゃんと言わなかったから」
ハジメ「覚えてたのか」
実乃里「忘れるわけないでしょ」
ハジメ「オレなら大丈夫だよ」
実乃里「でも……」
ハジメ「おやすみ」

部屋の明かりが消える。

<episode4へつづく>

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