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激しい雷雨が真夏の都内を襲う。
そしてここ、梶野家のリビングにもある意味直撃している。

どうも、家事のハジメこと梶野ハジメです。

いやはや、まいったまいった(汗)。
この由緒ある梶野家にいちばん似合わないチャラめの後輩・沼川広樹と、厳格主夫な義父・芯太郎が鉢合わせしてしまいました!

婿入りしたときから心のどこかで抱いていたイヤな予感がまさか的中してしまうなんて。

芯太郎「何をしてるんだい?」
ハジメ「すいません、実はあの――」
広樹「どもども、沼川っす!」
芯太郎「どちらの沼川さんで?」
ハジメ「ボクの後輩です。会社の」
芯太郎「会社……ねえ」
広樹「ここんとこ天気キツイっすね」

芯太郎、広樹をじっと見ている。
ハジメは変な汗が止まらない。

ハジメ「あの、お茶淹れてきま……」
芯太郎「待ちなさい」
ハジメ「はい!」
広樹「どしたんすか?」

芯太郎、なおも広樹を見ている。
ハジメは今にも卒倒しそう。

あ、倒れそうで思い出した。

家事のハジメさんがログインしました。

この状況ではさすがにパソコンからもスマホからもログインできないので、今回は頭の記憶回路からログインします。

会社の休憩室にて。
ふと視界がグラつくハジメ、倒れかけるも何とか踏み止まる。

広樹「センパイ、ここんとこ働きすぎっすよ?テキトーに休まないと」
ハジメ「大丈夫だって」
広樹「でも……」
ハジメ「残業してもここは手当が出るから」
広樹「なんでそんなに働くんすか?」
ハジメ「そりゃ社会人として――」
広樹「ウソっすね」
ハジメ「とにかく金を稼がないと……」
広樹「結婚でもするんすか?」
ハジメ「……何でそれを?」
広樹「やっぱり。自分の同期にもいるんすよ、デキ婚した男が。そいつ、めっちゃがんばり屋で家族を養うために徹夜で仕事してたんす。でも、ムリしまくって過労で長期入院しちゃったんす」
ハジメ「…………」
広樹「たしかにがんばるのは良いことっす。でも考えてみてください、センパイが倒れたらその間仕事のほうはどうするんすか?そっちが自分はこわいっす」
ハジメ「…………」
広樹「健康なカラダあっての仕事っす。ムリはダメっす」
ハジメ「……ヌマ」

家事のハジメさんがログオフしました。

我に返ったオレは義父の芯太郎に意を決して伝えようと思った。

ヌマは義父さんが思うようなヤツじゃない!
本当はめっちゃ思いやりのある人なんだ!

と、言おうとした次の瞬間。

芯太郎「ははははははは」
広樹「ヘヘヘヘヘヘヘ」
芯太郎「そのサングラス、限定モデルだ」
広樹「すっごい!よくわかりますね」
芯太郎「同じもの持ってるからね。あ、実は部屋にコレクションがあるんだ」
広樹「えええ!見たいっす!」
芯太郎「麦茶飲んだら案内しよう。それにしても、なかなかカッコいいデザインだな」
広樹「オシャレっすよね」
芯太郎「良かったら今度、良い店紹介してくれよ」
広樹「もちろんっす!」

どうやら義父の芯太郎はヌマが胸元に引っ掛けていたサングラスに興味を示したようだ。
先ほどヌマをじっと見ていたのはそういうことだったのか。

さらに会話は海の話題になって、

芯太郎「江の島はよく行くんだよ」
広樹「オヤジさん、サーフィン出来るってうらやましいっすね」
芯太郎「実は若い頃にハマっていてな」
広樹「でも自分、カナヅチでして」
芯太郎「気にするな、任せてくれ。しっかりレクチャーするよ」
広樹「マジっすか?あざーーーっす!」
ハジメ「(ボソッと)盛り上がってるし」
芯太郎「ハジメ君、麦茶を早く」
ハジメ「はい!ただいま!」

まさかそんな!
こんなにも満面の笑顔で話す義父を見たのは初めてだ。

ヌマよ。なあ、ヌマよ。
さてはお前、人の懐に入るプロだな?
次男か?末っ子か?
一人っ子で長男のオレにはどうしてもそのテクニックがほしい!

芯太郎「まだかね?」

焦ったオレは麦茶を乗せたトレイを持っていこうとしてつまづき、義父・芯太郎の頭目がけて思いっきりひっくり返したのだった。

その後、避雷針となったオレの頭に義父の雷が落ちたのは言うまでもない。

明日は晴れるといいなぁ。
空に積乱雲、立ち込めてるけど。

<episode8へつづく>

どうも、家事のハジメです。
いつも読んで頂き感謝感激です♪
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