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SE 街の喧騒

ケイゴM「今住んでいるアパートの部屋は夜になると外の喧騒がやたら聞こえてくる。ベッドの上で俺、斉木ケイゴは眠れないまま天井を見つめている。前に勤めていた広告会社から用意された下高井戸のアパートは首都高が近いのにもうちょっと静かだった。とはいえ、眠れないのは何も外の喧騒のせいだけじゃないのだが。こんな夜はキッチンで水を一杯飲んで、洗面台の鏡を見つめる。ふと、渋かった亡き親父の顔に日に日に似てきていることに気づく。遺伝するのなら、せめて顔だけにしてほしかった。家族性大腸ポリポーシス、なぜそんな病気が子どもへ遺伝する必要があるのか? そう嘆くほど、もう若くはない。これまで体育会系の部活や会社でメンタルは鍛え抜かれているはずなのにこの不甲斐なさは何だろう? もちろん、遺伝しない可能性もある。頭ではわかっていても親は子が可愛い。だから旅はさせても、ガンになりやすいハンデを背負わせることはしたくない。ましてや妻になる人も傷つけたくはない。モヤモヤしたままベッドに戻って天井を見つめていると、何も知らない彼女が覗き込んでくる。そして《あなたとの愛のカタチが欲しい》とつぶやく。もしも自分にポリポーシスなんてものがなかったら……そうやって今日も避妊具の袋の切れ込みにやり場のない思いを込める」

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