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〇益代の住むマンション・外観(夜)

〇同・益代の部屋(夜)
リビングで記者・宇加賀井益代がリモコンを操作し、再生されるDVD。

〇ディスプレイ
流れ始める映像。
益代が物書き・スダにインタビューしている。

T「読書をするときにやるべきたくさんのこと」

opening

スダ「まずはじめにお伝えしますと、僕は幼い頃から何事も他人より気づくのが5年遅いと自覚しています」
益代「せめて1~2年に縮めよう。もう大の大人なんだし」
スダ「はい。なので、その縮める方法こそが読書だったんです」
益代「え、そんなに急に化けるもん?」
スダ「もう30年近く生きていますが、10代・20代それぞれずっと解けなかった悩みが読書によってほぼ解決できたんです」
益代「その悩みってなんなのさ?」
スダ「10代の頃は人間関係、20代の頃は仕事についてです」
益代「ありふれた悩みだね。もっと大それたことだと思ってた」
スダ「ありふれた悩みだからこそ大変なんです」
益代「で、ほぼ解決したってことだけど」
スダ「今回は読書の奥深さをお伝えしたいと思います」
益代「宇加賀井益代が伺いますよ」

chapter1
読書の導火線に火を点けた一冊

益代「そもそも読書に目覚めたきっかけは?」
スダ「20代半ばから一度きりしかない人生をどう生きていこうか、と何度も思ってはハッキリした答えが出ずに悶々としていました。まさにビハインドからのスタートでした。そんな折、人間関係や仕事の本質とは何なのか調べようと思うようになりました。そこでまずマーケティングの勉強をするようになりました」
益代「マーケティングっていわゆる市場調査のこと?」
スダ「はい。そして仕事における肝の部分です。そこに必ず人間関係も絡んでくるんです。男として、人間として、作家として生きていくにはまずその本質を知る必要がありました。そしていろいろ調べて出会ったのが”影響力の武器“という本です」

影響力の武器[第三版]
ロバート・B・チャルディーニ(著)
社会行動研究会 (翻訳)

益代「うわ、これかなり分厚いわ!」
スダ「しかし読み始めるとハマるのであっという間です。この書籍はマーケティングのみならず、世の中の流れや人の心まで事細かに調べ尽されております。学者さんが実験して得たたくさんの記録が載ってます。これを読んでから少しずつ物事を見る目が変わって来たと自覚し始めました」
益代「へえ、そうなの!」
スダ「ちなみにこの本はメンタリストのDaiGoさんもご自身の著書で取り上げております。自分の読んだ本が他のところで紹介される時の嬉しさといったらこの上ありません」
益代「芸人でもボーカリストでもないほうね」
スダ「次にホームページの中身を充実させようとwebマーケティングの本を読みました」
益代「今度はインターネット方面?」
スダ「そこで学んだことは”仕事には必ずターゲットとなる人が存在しており、そのターゲットの人たちのためにいかに良いものを与えられるか“ということでした。世間の人気商品やブランド商品はいったい誰のために作られているのか、ショッピングにおけるお店と顧客の関係性を学んでいきました。するとこれが人間関係にも生かせるということに気づいたんです」
益代「ほうほう」
スダ「それを応用して、相手の立場や気持ちをよく考えながらその相手のために自分はどういった最善の行動ができるかという考えへ次第に切り替わっていきました」
益代「よく”人のために”、なんていうけどそのホントの意味がわかったってことね」
スダ「そしてそこで他人からの好き嫌いはどちらも一生付きまとうことも知りました」
益代「どうがんばってみても好きな人には好かれるし、嫌われる人からは嫌われるからね」
スダ「はい。子どもの頃からずっと嫌われないように無理して生きてきたんです。つまり八方美人を演じてたわけですね。だけどもうそんなことしなくていいんだと本から教わったんです」
益代「たった二冊読んだだけでそこまで悟れるものなの?」
スダ「20年以上抱えてきた悩みが一気に、まるで散らばった点が一本の線に繋がるように感じました」
益代「そんなことってあるんだ。まさに世にも奇妙な出来事だわな」
スダ「これをきっかけにさらに前へと進むべきだと感じ、心身ともに磨きをかけていこうと誓ったんです。進むべき道を自分の力で切り開くための準備を始めました」
益代「火曜情熱劇場のはじまりってか」

chapter2
物事を知ったら、実践する

益代「ほかに読書をして気づいたことは?」
スダ「知識を入れるとそれを作品に生かせるんです。たとえばマナーについて勉強すれば、礼儀作法を知っているキャラと知らないキャラをそれぞれ創り出すことが出来るんです。するとお互いの価値観が違うので、マナーの良し悪しを巡ってふたりの意見の衝突やドタバタが見られるわけです」
益代「そっか!人間を描く幅が広がっていくワケだ。知っておいて損することって案外無いもんだね」
スダ「しかし疑ってしまうのが作家の悪い性分で、書かれてあることが本当なのかどうか調べたくなっちゃうんです」
益代「いやいや、そもそもウソだったら売っちゃいけないでしょ」
スダ「ということで、作者の考えと自分の考えを照らし合わせてみるんです。そこで本に書かれていることを実際に行って確かめます」
益代「え?まさかの実践ちゃんコース?」
スダ「書かれてあることをそのまま飲み込んで終わりにしては受け身になってしまいます。なので、どうしてこの著者はこう書くに至ったのかを分析するんです。そのために実践してみながら自分なりに考えてみます。物事に完全などありませんが、何かしら気づくことはあります」
益代「読むだけではわかった気になるだけで、本質まではつかみにくいってことか」
スダ「はい。ちなみに購買心理の本を読んだときはデパ地下へ行きました。名だたるお店がたくさんありますが、誰が誰のために買っていくのか、店頭のレイアウトや立地はどうか、店員さんの顔つきはどうか、お客さんの年齢層はどうか、商品の価格設定はどうかなどに注目して考えてました」
益代「傍から見たらヘンな人だわ」
スダ「いえいえ、集中してる時に周りのことなんて見えてませんから」
益代「すいませ~ん、ここに変態がいます」
スダ「さらに執筆のパフォーマンスを上げるためにはどうしたらいいかを考えて脳のメカニズムに関する本を読んだり、将来冠婚葬祭に携わることを考えてマナーの本を読んだりしました」
益代「いろんなジャンルにチャレンジしてるわね」
スダ「いえいえ、恐れ多いです」
益代「ん?そういえばアンタ、前より声のカンジが変わってきた気が」
スダ「実は………」

声帯トレーニングの本がチラリと顔をのぞかせる。

スダ「何事も実践あるのみですので」
益代「ホント、抜かりないわね」
スダ「本だけにホントって言ったんですか?」
益代「この部屋クーラー効きすぎ!」

chapter3
とにかくノートに書いてみる

スダ「読んでいて気になったフレーズやビビっと来た文面はノートに書いてます」
益代「え、わざわざ書くの?ノートに?」
スダ「ただ読むだけでは内容を覚えるのに時間がかかってしまいます。なのでノートに書きながら読んでいくと意味を考えながら手を動かすので記憶しやすくなります」
益代「脳と目と手を使うってことか」
スダ「使えば使うほど鍛えられていきます」

ノートに書くことのメリット
1.内容を理解しやすくなる
2.四字熟語や漢字に強くなる
3.語句の意味や歴史がわかる

スダ「イラストにしてみるのも良いですよ」
益代「絵を描くことで脳を鍛えるってことね」
スダ「そうです、記憶に強く残りますからね。その他に、今では見かけないような難しい漢字や四字熟語が載っていたらすかさず書き、パソコンかスマホで意味や読み方をすぐ調べます」
益代「さすがネット世代、アタシのころはこ~んなに分厚い辞書だったわ。嗚呼、もうすぐ平成も終わるし昭和がますます遠くなる」
スダ「ことわざ、四字熟語、漢字を覚えることは社会で生きていくのにとても役に立ちます」

chapter4
参考文献も読んでみる

スダ「本には他者の著書が紹介されているものがあります。いわゆる参考文献ですね。その中で心の琴線に触れたものがあれば読んだほうがいいです」
益代「たとえば?」
スダ「辰濃和男さんの”文章の書き方”という本に福沢諭吉さんの『学問ノススメ』が紹介されていたのですぐさま買いました。有名な出だしの部分は知られていますが、正直その先は知りませんでした。うわべしか知らないことこそが一番怖いので、実際に奥深くまで知る必要があります」
益代「アンタってフットワーク軽いよね」
スダ「明日も健康であるとは限りません。その日その日をしっかり大切に生きたいんです」
益代「それがアンタを動かす情熱ってヤツなのか」
スダ「ただ時と場合によって臨機応変な対応も心がけています」
益代「ま、人生にはどうしても波ってモンがあるからね」
スダ「上手くいくときほど慎重に、上手くいかないときほど気にしないようにしています」

chapter5
読み直すことも忘れない

スダ「本を読み終えたら、後日もう一度読み直してみてください」
益代「え?どういうこと?」
スダ「これは内容をしっかり理解できているかのリトマス試験紙みたいなものです。本はとても奥が深いものなので、何度も読むことで味が出て来るんです」
益代「たしかに。で、その見極め方はどうすんの?」
スダ「他人にうまく説明できるかどうか、ですね」
益代「説明?」
スダ「誰かに説明するときに内容を理解できていればスラスラと伝えられるんです」
益代「言われてみれば覚えてることって得意気にベラベラしゃべってる自分がいるわ」
スダ「読んだ本で覚えたこと。例えば人間心理で、人は遠い未来の成功や目標の達成よりも目先にある楽しみのほうが価値あるように見えてしまったり、大きな仕事をした後は小さなご褒美を自分に与えたがったりするんです」
益代「ドキッ」
スダ「何か心当たりでも?」
益代「禁酒してるのよ、もうすぐ1年」
スダ「ここのところ益代さん、健康主義ですもんね」
益代「以前は良い記事が書けたとか、良い取材ができたって日は一杯グイッとやってたのね。酒は百薬の長っていうでしょ?でもアタシの場合、加減を知らないから」
スダ「へべれけ益代になると」
益代「感情をコントロールできるといいんだけどね」
スダ「ここまで本を読むことについてご案内しましたが、結果的に自分の感情を自分でコントロールするためにしている気がします。これまで落ち込みやすかったのも悩んでいたのも、失敗や挫折を恐れていたからだったんです。むしろ人生に失敗や挫折なんて当たり前なんです。大切なのはそこから次の方法を見つけられるように自分の頭を働かせていくことですから。すると顔や態度も変わろうと意識し始めます。人は誰でも変わろうと決意し行動すれば必ず変われます」
益代「男子、三日合わざれば刮目して見よってことね」
スダ「さすが!ご存じなんですね!」
益代「三國無双シリーズ、大好きなの」

【男子、三日合わざれば刮目して見よ】
日々鍛錬する人が居れば、その人は3日も経つと見違える程成長しているものだと言う意味。
三国志故事より出典。

スダ「本を読む前はずっと井の中の蛙大海を知らず状態でした。学ぶべきことがこんなにもあったんだということと、全然自分は世間を知ろうとしなかったことを心から反省しました。もちろん反省すべきことはまだまだ山のようにあり、全然満足できていません」
益代「ゴールはいつとか決めてるの?」
スダ「いいえ。きっとずっと一生この姿勢を維持していきます」
益代「でもそれじゃ大変じゃない?」
スダ「むしろ楽しいです。今この時が人生の中で最高かも!って思えるくらい」
益代「言い切れるなんてよほどだね」
スダ「これは衝撃を受けた本からの受け売りですが、顔にはその人の内面が出るといいます。顔相といって、その人の精神状態や健康状態が如実に表れるんです。さらにそれはこの先送る人生をも決定づけることなので、いつもこのことは肝に銘じています」
益代「ホント?!じゃあ、アタシの顔はどんなんしてんだろ」
スダ「たった10kmじゃ走り足りないって顔してます」
益代「おーーーい!」
スダ「あれ?プロテイン買わなきゃって顔かな?」
益代「右ストレートぶちかますよ」
スダ「冗談です」

ending

益代「最後にこの映像を観ている人へメッセージを」
スダ「本とは先人たちが汗水垂らし苦労して手に入れた貴重な経験談の数々を記したものです。それをamazonや古本屋で安く買えること自体がスゴいことなんです。そして何より活字に触れることは物事の奥深さを知るきっかけになります。自分を磨くために本を読んでいけば得ることや気づくことはたくさんあるはずです。そして何より今日の自分がいるのは、心ある周囲の人たちのおかげです。いつも感謝の気持ちでいっぱいです」
益代「どうもありがとうございました」

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