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「受付」
受付  江原パジャマ
制作チーフ 堀山俊紀
客     中山将志
関係者客  小林涼太

ここはとある舞台会場の出入り口。
検温コーナーで入場客の対応をしている受付。

時節柄差し入れは一切断っているが、客は検温が無事だとわかると受付の男に無理矢理渡して「自分は特別だから」と会場内へ。

その様子を知った制作チーフは頭を悩ませる。
そんななか、他の関係者客が姿を現す。

仕事なので、と受付がその男に検温をするのだが温度は測るたびぐんぐん上がっていくばかりで―

「そんなこと話してる場合じゃない」
丸山    丸山港都
小林    小林涼太
中山    中山将志
齋藤       齋藤亘
武田鉄矢の息子 池内風

ある有名人の家のリビングにて。
そして引っ越し業者の4人の男がいる。

最後に残ったひとつの大きなソファ、これを外へ出せばすべてが終わる。

しかし丸山はとある事情で現場に遅刻し、「殺してえ」が口癖の中山は下痢気味だ。

メンバー間が不和の中、4人力合わせてそのソファを何とか外へ出そうとするが……ドアが狭くて出せない。

運んでは戻し、運んでは戻しの繰り返し。
そうこうしているうちにただただ時間だけが無駄に過ぎていく。

それを見かねて謎の男が現れる。
何と彼は武田鉄矢の息子だと名乗って……

「あたたかいへこみ」
江原   江原パジャマ
堀山    堀山俊紀
太田    太田旭紀
生霊    齋藤亘

江原はエリという女性のことが好きだ。

その彼女が帰った後のリビング。
知り合いの堀山と太田がやってくる。

堀山はソファに座って煙草を吸おうとするが江原はそれを拒否。

彼女がさっきまで座っていたソファのへこみ。

彼はその部分が冷めるまでは誰にも座らせたくないというのだ。

堀山はピュアな恋心を抱く江原に「エリに彼氏がいるかもしれないんだぞ?」とからかう。

太田はウブで繊細な江原を刺激しないよう堀山に忠告するも、そこへエリのイケメン彼氏(と江原が勝手に妄想した)の生霊が現れる。

「ごめん。俺、めっちゃイケメンだろ?」と口パクでつぶやくその生霊は江原にしか見えず……

「キャンプファイヤー」
小林    小林涼太
内藤    内藤ゆき

ある一組の男女。
ソファに男は座り、女は階段に座っている。

ひとりでキャンプに出掛けるという男に女は問いただす。
言葉の語尾に独特な癖を含めて。

かつては好き合ったふたり。
だがいつからかお互いに距離が出来ていた。
そして今はもう他人同士。

もしかして語尾に癖があるのは彼女なりに引き留めようとしているのかもしれない。

しかし、関係は戻りそうにない。

思い出のソファを薪にしようと、ふたりが解体を試みると隙間にポップコーンの破片を見つけて……

作・演出 山下由

画像出典元:Pityman様

はじめに

本公演はオフィス上の空プロデュース「1つの部屋のいくつかの生活#3」内の6作品のひとつ。

(#3なのか…前の2作品も観たかったなぁ)

6劇団が赤・青・黄のそれぞれ3つにわかれて、公演を行う変則的な舞台。

1つの公演で2団体も観られるという、舞台好きにはうれしい試み。

こういうトリッキーな企画や思考能力にめっちゃ憧れる。

(フライヤーの部屋の間取り図とか見るだけで、その緻密で計算されたディテールにゾクゾクする)

舞台が生ものである以上、いつも新鮮な衝撃を受け続けていたい。

そして凝り固まったこの頭の中の価値観を思いっきりぶっ壊されたい!

そのため先入観を持たぬよう、あらゆる前情報は何も入れず観に行く私。

ゆえにTwitterで写真やキャストやスタッフによる裏話などを知るのは公演を観終えた後に尽きる。

私は青チームの「Pityman」と「こわっぱちゃん家」を鑑賞。

つまり、このブログは前半ということになる。

企画制作は株式会社オフィス上の空。
プロデューサーは中島庸介さん。

ん?

そこってたしか、キ上の空論の……

あ!!!

構成について

開演前、シュガー・ベイブによる名曲が館内に流れている。

大貫妙子が歌う「いつも通り」や山下達郎が歌う「DOWNTOWN」と実に心地よい選曲。

と思っていたら「受付」が始まって、空気が一変。

もはやコントのような怒涛の流れに心をグッとつかまれて、そこから勢いが止まらない(笑)

なお「受付」は各エピソードの間も展開される。

「受付」→「そんなこと話してる場合じゃない」→「受付➁」→「あたたかいへこみ」→「受付➂」→「キャンプファイヤー」→「受付➃」

3本目の「キャンプファイヤー」がしっとりしているのを除いて、他のエピソードは確実に笑わせに来ている。

今回はキャラクターの動きについてじっと観察していた。

たとえば「あたたかなへこみ」の江原さんのキャラ。
オドオドして落ち着かない動作がウブで女性経験の無さを見事に醸し出している。

太田さんは堀山さんと江原さんの掛け合いを見て、自分の立ち位置を必死に探そうとして動く。

さらにテンポのメリハリ、セリフの研究もできたので嬉しかった。

そして終演のBGMは欧陽菲菲の「ラヴ・イズ・オーヴァー」。

それを流すのは、もしかして「キャンプファイヤー」の女の心情から?

印象的すぎた役者さんたち(笑)

池内風さん

こりゃ、反則級の存在感だろう(笑)
武田鉄矢の息子役として美味しいところをすべて持っていった。

てか、ぜーったい演じてるとき顔も声も武田鉄矢っぽくしてたよね(笑)?

それがもうずっとツボに入ってしょうがない。

例のソファのことを「彼女」と呼び、自分が幼い頃にそのソファはとても小さく、やがて大人になるにつれてその「彼女」もどんどん成長して今の大きさになったので愛着が湧いてずっと気にかけていた。

ゆえにクレジットは「そんなこと話してる場合じゃない」のみに記載だが、「受付」以外のすべてにちゃっかり登場するから笑いが止まらないのなんの。

時系列は「そんなこと話してる場合じゃない」→「あたたかなへこみ」→「キャンプファイヤー」のため、その後の様子が気になって昔住んでいた家に尋ねては「彼女」の様子が気になって見に来るのだ(笑)

ということは、この3つのエピソードのバックボーンは武田鉄矢の息子とソファの物語だったのでは?と思えてしまう。

そう考えるとまた笑いが止まらなくなるのだが。

休憩中にパンフレットを見て、その名に驚いた。

あの、かわいいコンビニ店員飯田さんの主宰であり、衝撃作「マインドファクトリー」の生みの親だったなんて!

あの作者がこういうコミカルなポジションを演じるというのも観る側としては贅沢すぎる気分。

小林涼太さん

この方の存在感も反則級だ(笑)
もうそこにいるだけで場を明るくしてくれる。

「受付」の序盤で体温が数千度になってしまったので、手のひらでおでこに冷風を送ってもさらに温度は上昇し、最後は「ガリガリ君」でおでこを冷やすという。

何とか落ち着いたと思いきや、その時にもう公演は終わっていて最後まで観られずじまい。

本公演の扉絵、よく見るとソファに座っている男性のモチーフになっているし(笑)

おわりに

こんなにも終始ずっとお腹を抱えて笑うのは久しぶりだった。

(もちろん、マスクを両手で抑えながら)

この先行き不安な時代のなか、グンと免疫力を高めてくださって心より御礼申し上げます。

さて、前半戦はこれにて終了。

→to be continued
こわっぱちゃん家「Picnicへのご案内」→

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