オリジナルシナリオ『メンズメイクのミガキさん』

彼は美とは無縁な顔をしている。
そう、すっぴんのときだけは。

INTRODUCTION

三垣 明久 みがき あきひさ
34歳、営業部のサラリーマン。

彼は美とは全く無縁な顔をしている。
そう、すっぴんのときだけは。

午前6時、起きてシャワーを浴びた後にだらしない顔の彼は決まって洗面台の前に立つ。
そしてファンデーションを塗り、爪を磨き、眉を整え、目元をハッキリさせ、軽く紅をひく。
とくに気をつけているのが、周囲にバレないくらいのごく自然な化粧をするということ
そうすることで血色の良い清潔感がある自分になり、自信を持って仕事が出来るのだ。

彼にとってメイクは自身のだらしなくて情けないすっぴんから社会の戦士であるもうひとりの自分の顔へと変身するための手段であり、そのメイクをしなければ力を発揮できないという弱点があった。それはバッグの中にメイク道具を持ち歩いているほど。
もちろん、世間の目を恐れてメイクのことは会社の人間には内緒にしている。

皮肉にも今ではメイクのおかげで仕事の業績が上がり、プライベートも生き生きしている。
仕事用のスーツはしっかりとしたものを着ているが、一方で私服はファストファッションでさりげなくオシャレにコーディネートできるほど余念がない。

時間が出来ればオシャレに見えるメイクをメンズ化粧品ショップにいる馴染みの女性店員からレクチャーしてもらったり、ネイルサロンで馴染みのネイリストに爪を磨いてもらったり、書店に入れば片っ端からいろんな女性雑誌をじっくり読みこんでいる。

どうして彼はなぜそんなにも美を追求するのか?

一見すると彼は仕事や女性たちへのエチケットのためにしているように見える。
だがそれは表向き。本当は自分のコンプレックスを克服したいという気持ちがあったのだ。

それは“思春期からの肌荒れ”と”情けなく不健康そうに見える顔の相”だ。

彼は田舎の中学と高校で体育会系の部活に所属して一生懸命やっていたが、どうしてもニキビや肌荒れがひどかった。やがて上京して社会人になった彼だが肌荒れはそのまま。
どんなにクリームを塗ってもなかなか大人しくなってはくれない。

体育会系出身なわりに控えめな性格ゆえ、周囲のやんちゃなノリにはついていけず、おまけに酒もたばこも飲めないため気になった女性を勢いでお持ち帰りするほどの勇気もない。

自分に鞭を打ってようやく手に入れた彼女を抱きしめることが出来、待ちに待ったキスをする寸前で彼女から断られてしまいショックを受けてしまう。

そこで彼は自分を変えるべく、己を磨くために美に目覚めた。

はじめは女性ウケや女性と仲良く話せるきっかけになればという下心的な感覚で始めたが、自分を磨いていけばいくほど美の深さとおもしろさにハマってしまい、どんどん専門知識が増えて、今では聞こえてくる女性たちの会話についていけるようになってしまった。

そして行き着いたのが血色の良い化粧をし、もうひとりの強い自分を見つけたということ。
それと引き換えにすっぴんを見せることに抵抗があり、自宅の寝床に気になる女性を入れられない。

実のところ彼のささやかで着実な変身に対して疑問や不満を持つ者は少なくなく、嫉妬や疑心から彼に変化をもたらしたものがいったい何なのかを探り始めていく。

メンズメイクを武器に競争社会で戦士としていられるタイムリミットが刻一刻と迫っていることを知る由もない当の三垣は、きょうも荒れた肌や目の下のクマをファンデーションで隠し、女性からの視線を意識して爪をきれいに整えて、生えるスピードの速い眉毛をキッチリとさせ、不健康そうに見える青白い唇に紅をひいて、自宅の玄関を後にした。

MOVIE

制作協力:フラッグシップオーケストラ

MAIN CHARACTER

※画像はイメージであり、本人ではありません。

三垣 明久 (みがき あきひさ)
本編の主人公。
都内の広告会社に勤める営業マン。
業績も良く清潔感に溢れて何不自由なく見えるが、実は素顔に肌荒れという悩みを抱えていた。
メンズメイクで素顔を隠すことで強い自分になり、仕事に恋に奮闘していくのだが……
Mr.Childrenの「All by myself」と「雨のち晴れ」を好んで聴く。
(名前の由来は磨き=三垣+メイク=明久)

家辺 波瑠 (いえべ はる)
メンズ化粧品ショップスタッフ。
三垣にビジネスメイクを施し、彼の商談を成功に導くフォローをする。
おっとりとしていて小悪魔な雰囲気を持つが、仕事には人一倍プロ意識を持っている。
「メイクは何かを隠すのではなく、新しい自分を見つけるためにするもの」が信念。
三垣のメイクの下の素顔を知っており、彼から好意を寄せられている。
好きな曲は古内東子の「スーパーマン」。
(名前の由来は肌のイエローベース+春)

天川 夏芽 (あまかわ なつめ)
ネイリスト。
三垣の爪を磨き、彼の商談を成功に導くフォローをする。
少し派手めの元気なお姉さんだが、現場を切り盛りするプロフェッショナル。
爪に関する知識を研究し「ネイルは爪のメイクという名のエチケット」という信念を持つ。
三垣に好意を寄せているが、彼がビジネスメイクをしていることは知らない。
ひとりで旅行するのが好き。(とくに沖縄)
(名前の由来はネイルの甘皮+爪)

STORY

episode#1
(19/04/10 RELEASE)

都内にある広告会社の社員・上条修一は営業部のエースである。
しかし、ここのところ焦りを隠せなかった。それは”ミガキ”という名の、仕事が出来る同期の存在。
そのミガキという男の活躍によって、上条の業績はこれまで維持してきたトップの座が揺らぎ始めていた。

毎朝午前6時、そのミガキこと三垣明久は決まって洗面台の前に立つ。
そしてコンシーラーを塗り、爪を磨き、眉を整え、軽く紅をひく。そう、ビジネスメイクだ。
とくに気をつけているのが、周囲にバレないくらいのごく自然な化粧をするということ。
そうすることで血色の良い清潔感がある自分になり、自信を持って仕事が出来るのだ。

実は彼のすっぴんは肌荒れと青ひげに覆われ、とても人前で見せられるものではなかった。
彼にとってメイクは自身のだらしなくて情けないすっぴんから社会の戦士であるもうひとりの強い自分へと変身するための手段であり、そのメイクをしなければ力を発揮できないという弱点があった。

生まれ持ったすっぴんによってこれまでの人生の大半を苦労してきた三垣はビジネスメイクの魅力に取りつかれ、今ではメンズ化粧品店のスタッフ・家辺波瑠からレクチャーを受けたり、ネイリストの天川夏芽から商談が成功するための験担ぎにと爪をピカピカに磨いたりしてもらうことが日課となっている。

彼女たちのフォローを経て、自分に磨きをかける三垣は企業の戦士としてこれまで様々な商談を成功させてきたのだ。

そんな折、職場にある依頼が持ち込まれる。
それは何とメンズメイクの宣伝依頼!

しかもよりによってクライアントからの要望で上条とコンビを組まされてしまう三垣。
やがて三垣は嫉妬した上条から”メイク”という秘密を探られることになってしまい……

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このシナリオはフィクションです。
実在の人物・場所とは一切関係ありません。