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〇ラブホテルの一室(夜)

仄暗い室内で俊介が先ほどの女と事に及んでいる。
恍惚な表情を浮かべる女に対し、俊介は遠くを見て冷めている。
ふと俊介が見下ろすと、女の顔が愛乃に変わっている。

俊介「!」
女の子「痛っ」

一瞬たじろぐ俊介だが、すぐに元の女の顔に戻る。

俊介「……ごめん」

拳を握る俊介、再び事に及ぶ。
俊介の顔は悔しさに溢れていて―

〇もとの繁華街(夜)

大雨が降っている。
ホテルから出てくる俊介。
傘を差して歩く通行人たち。
雨とわかり、俊介は近くの軒下まで向かって雨宿りする。
スーツなどに付着した雨を振り払う俊介、少し離れた軒下で雨宿りしている里美を見つける。

俊介「……いた」

里美は俊介に気づかず、じっと空を見ている。
俊介が里美の横へ。

俊介「ここにいたのか」
里美「…………」
俊介「でも、この雨じゃ配れないな」
里美「…………」
俊介「またそれか」
里美「さっきの女性は彼女さんですか? とてもそうは見えなかったけど」
俊介「!」

俊介、里美を覗き込む。
里美は俊介を見ようとしない。

俊介「見てたのか」
里美「見かけたんです。あれ、一緒じゃないんですか? (と、嫌味ったらしく)」
俊介「……置いてきた」
里美「(表情が少し険しくなって)」
俊介「なんてな」
里美「では誰なんですか?」
俊介「今夜だけの遊び相手」
里美「遊び?」
俊介「当たり前だ」

里美がそっぽを向いたままで、カゴから避妊具をひとつ取り出すと俊介に見せる。

里美「ちゃんと使いましたか?」
俊介「さあ」
里美「最低ですね」
俊介「何だと?」
里美「そこに愛はあるんですか?」
俊介「愛?」

突然、笑いだす俊介。
信じられない里美。

俊介「笑わせんな、愛なんてキレイゴトだろ」
里美「かわいそうに―」
俊介「何だと?」
里美「あなた、ひとりぼっちですね。だからそんなことばかりしてる」
俊介「そんなことって何だ」
里美「まるで風俗です」
俊介「店に失礼だろ」
里美「何ら童貞と変わりません」
俊介「は?」
里美「だから童貞です。チェリーです」
俊介「バカにしてるのか!」
里美「そうです」
俊介「オレはなチェリーなんてとっくに―」
里美「愛のない性交渉は童貞と同じです」
俊介「…………」
里美「私はあなたが嫌いです。何かあったら責任取れるんですか?」
俊介「こっちは同意の上でヤってるんだ」
里美「…………」
俊介「女なんてみんな同じだろ、大人しい顔して心のどこかじゃ抱かれたがってるんだ。君だってそうじゃないのか?」
里美「…………」
俊介「これでも役に立ってるんだ、見渡せば彼氏に不満なコはたくさんいる。オレはそんな彼女たちを慰めてやってるんだ」
里美「…………」
俊介「最近流行りの草ばっか食ってるヤツらよりだいぶ―」

俊介の言葉を最後まで聞かない里美、傘を差して行ってしまう。

俊介「おい!」

俊介が里美を追おうとするも、大雨の前でたじろいでしまう。
里美がどんどん離れていく。

俊介「待てってば!」

俊介が急いで追い掛ける。
里美、傘を差して歩いている。
俊介が並走するように連なる店の軒下を伝って追う。
俊介、雨宿りする人たちをかわしながら、

俊介「こっちだって聞きたいことあるんだ!」
里美「…………」
俊介「何でいつもあんなことしてるんだ?」
里美「…………」
俊介「こっちは言うこと言ったんだ! そっちのことだって少しは教えてくれたっていいだろ!」

交差点の手前で里美が立ち止まる。
横断歩道の信号は赤である。
俊介も慌てて止まる。
里美、俊介に背中を向けたままで、

里美「わかりました、答えます」
俊介「(身構えて)」
里美「何となくです」
俊介「おい! それって答えになって―」

横断歩道の信号が青に変わる。
里美が交差点を渡っていく。

俊介「ちょっと待っ―」

追い掛けようとする俊介だが、先に雨宿りできる場所がなくて止まる。
里美が人ごみに紛れていき、見えなくなってしまう。

俊介「(人ごみを見ていて)」

雨が容赦なく降り続いて―

<第5話につづく>

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