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〇グッドランゲージ××校・廊下(夕)

窓際の飲食スペースでスパゲティを食べる英理、スマートフォンを取り出して操作を始める。
動画サイトで『ソングガールズ』を検索すると、演奏とともに派手な衣装のアイドルたちが踊り始める。

英理「…………」

英理は動画サイトを閉じ、英字のニュースページを表示する。
世界の情勢や国内のニュースなど。
窓の外を見る英理、駅前ビルのモニターに映るSNSサイトのCMには『トモダチ、つくろう』のキャッチコピー。

英理「…………」

〇同・教室(夜)

英理が作業をしているとドアが開く。
やってきたのはジェニファー。

英理「あれ? アナタは―」
ジェニファー「さっきはどうも」
英理「え? どうして?」

加瀬木が咳払いをしながら現れたを思いきや、

加瀬木「(英理の耳元で) 無料体験だ。他の講師の手が埋まってる。お前が担当しろ」
英理「は?」
加瀬木「(英理の耳元で) いいか? くれぐれもクレーム起こすなよ。絶対にな」
英理「いや、でも―」
加瀬木「(英理の耳元で) 必ず入会させろ。そしたら心置きなく辞めていい」
英理「ちょっと―」
加瀬木「(笑顔で) では、ごゆっくり」

加瀬木、去っていく。
英理がムスッとしていると、

ジェニファー「こんばんは」
英理「Good evening」
ジェニファー「なんだ、もっと馴れ馴れしいと思ったのに」
英理「え?」
ジェニファー「想像と違うじゃん」
英理「…………」
ジェニファー「あのさ、英会話って難しい? 私、英語が全然話せなくてさ」
英理「(呆気にとられて)」
ジェニファー「おかしいでしょ?」
英理「いや、そういうわけじゃ―」
ジェニファー「だって私みたいなのが英会話教室に通うんだよ?」
英理「あなた、ハーフ?」
ジェニファー「ううん。親は外国人だけど、おばあちゃんは日本人だよ」
英理「それじゃクオーター?」
ジェニファー「そうだね。ちなみにわたしは東京生まれ東京育ち、最近テレビに出てるハーフタレントとは一味違うから」
英理「へえ」
ジェニファー「てか先生、そこはツッコんでよ。この自己紹介、二日考えたんだから」
英理「せ、センセイ?」
ジェニファー「だって私は生徒だもん」
英理「……エリでいいよ」
ジェニファー「じゃあ、エリ先生」
英理「エリでいいって」
ジェニファー「せっかく教えてもらうのにタメ口なんて申し訳ないよ」
英理「このクラスではそれでおねがい」
ジェニファー「ふ~ん。わかった」
英理「それではスタートするね」
ジェニファー「は~い」
英理「Good Evening, Jennifer」
ジェニファー「グッドイブニング、エリ」
英理「Good!」
ジェニファー「何か変な感じ」
英理「My name is Eri Andou」
ジェニファー「え? エイリアン?」
英理「(ムッとして) エリ・アンドウ」
ジェニファー「てか、めっちゃ発音良いじゃん。もしかして帰国子女?」
英理「……まあね」
ジェニファー「すごいじゃん!」
英理「べつにすごくなんかないよ」
ジェニファー「どうして? ねえ、どうして?」
英理「それは―やめておく」
ジェニファー「気になるじゃん」
英理「とにかく、レッスンするよ」
ジェニファー「んもう!」

〇同・事務所(夜)

受付でジェニファーを見送る英理。
加瀬木と菜々実の姿も。

加瀬木「レッスン、いかがでしたか?」
ジェニファー「めっちゃ楽しかったです」
加瀬木「本当は他にもっとベストな講師がいたんですが―」

英理、加瀬木を睨む。
すかさず菜々実が英理をなだめる。

ジェニファー「とても良かったです」
加瀬木「そうですか」

英理がそっぽを向く。
菜々実、タジタジ。

加瀬木「それで、入会のことなんですが―」
ジェニファー「あ、ごめんなさい。今日はちょっとお金が―」
加瀬木「そうですか。では、また後日ご連絡頂ければ大丈夫ですよ」
ジェニファー「わかりました」
菜々実「よろしくお願いします」
ジェニファー「必ず連絡しますんで」
加瀬木「はい。お待ちしております」
ジェニファー「センセイ、今日はありがとね」
英理「いいよ、そういうのは」
加瀬木「安藤君、お客様に対して失礼だぞ。敬語を使いなさい」
英理「(ボソッと) Sorry」
ジェニファー「気にしないでください。それじゃあ」
菜々実「お疲れ様でした」
加瀬木「お気をつけて」

ジェニファーを丁重に見送る加瀬木と菜々実。
英理はボーっとしている。
加瀬木と菜々実が閉店作業を始めながら、

菜々実「さっきのアレ、本心ですかね?」
加瀬木「建前だろ」
菜々実「ですよね」
加瀬木「ま、入会してくれればいいんだ」

英理がムッとする。

英理「おつかれさまでした」
菜々実「お疲れさま」

加瀬木が英理とすれ違いざまに、

加瀬木「ご苦労さん」
英理「…………」
加瀬木「送別会くらいはしてやろうと思ったけど、ここはそういうのしないから」

加瀬木が菜々実の作業を手伝う。
英理、去っていく。

<第4話へつづく>

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