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〇同・リビング

尚美が周囲を見回す。
彩音、お茶の用意をしている。
テレビの天気予報、夜は雨らしい。
彩音と旦那と思しき男性の写真が並ぶ。

尚美「公務員だもんね、旦那さん」
彩音「そう」
尚美「いいなぁ。ずっと安泰で」
彩音「何言ってんの、数年ごとに異動があるからいろいろ大変だってば」
尚美「ふ~ん」

彩音が尚美にお茶を出す。

尚美「いいよ、そこまでしなくても」
彩音「これも一応、妻の仕事ですから」
尚美「……ありがとう」
彩音「どういたしまして」

尚美がお茶を一口。

彩音「どう?」
尚美「どうって?」
彩音「味よ、味。おいしい? それとも―」
尚美「よくわかんない」
彩音「ブラックばっか飲んでるからじゃん、まったくもう」
尚美「別に何飲もうが勝手でしょ」
彩音「あのさ、こっちは奥さんとして一生懸命がんばってんの!」
尚美「たかがそんなお茶の味なんかで―」

〇フラッシュ

オフィスの休憩室で駿と初対面のシーン。
自販機前にいる駿が照れた顔で、

駿「僕はお茶です」

〇もとのリビング

ボーっとしている尚美。

彩音「どうしたの?」
尚美「(我に返って) ううん、何でもない」
彩音「あ~あ。尚姉なんかに聞いて損した」
尚美「なんかにって何よ?! それくらい自分で何とかしなさい」
彩音「自信ないからこうやって頼んでるんじゃん!」

睨み合う尚美と彩音だが、すぐにクールダウンして吹き出す。

彩音「なんかこういうの、久しぶりだね」
尚美「旦那さんとはケンカしないの?」
彩音「それはまあいろいろと。男と女だし」
尚美「やっぱり」
彩音「地元の友達なんかいつ別れてもいいように看護師してるよ」
尚美「それって―」
彩音「決して食いっぱぐれないからね」
尚美「なるほど」
彩音「実は私もこう見えて……資格をいくつか取ってるんだぁ」
尚美「えっ?! あんた、もうもしものことを考えてるの?」
彩音「ウソウソ。ジョーダン」
尚美「何がウソで冗談なのかわかんない」
彩音「離婚は考えてない、もちろん。でも、この先何が起こるかわからないからね。ダンナの身に何かあったら、アタシが助けなきゃと思って」
尚美「…………」
彩音「そういう尚姉はどうなのさ?」
尚美「(動揺して) な、何が」
彩音「シュンさんとはケンカしないの?」
尚美「こっちはとくにそういうのは―」
彩音「ないの? そんな性格なのに?」
尚美「そんな性格って何よ、これでもう3年一緒にいるんだから」
彩音「長くいたってケンカはするでしょ。同じ人間なんていないんだし」
尚美「…………」
彩音「ま、そういうところが尚姉らしくてイイんだけどさ」
尚美「それにしてもよくここへ嫁いだね。都内から片道1時間30分でしょ?」
彩音「人を好きになるのに場所は関係ない。むしろ付き合ってた時は近すぎず離れすぎないこの距離が良かったんだから」
尚美「…………」
彩音「たま~に逢うくらいが、相手が今何してるんだろうって考える時間が出来るじゃん? その分、結婚すると相手と暮らすのが普通だからそういう時間ってないと思うんだ」
尚美「…………」
彩音「そうだ、結婚で思い出したけどもうすぐ父さんと母さんの結婚記念日だよね?」
尚美「(ギクッとして) え?」
彩音「尚姉、何か買った?」
尚美「まだだけど」
彩音「ちょうど良かった。じゃあ一緒に買いに行こう、ね?」
尚美「…………」

〇ショッピングモール

たくさんの人で賑わっている。
フロアを歩く尚美と彩音。

彩音「もうすぐ結婚30周年かぁ」
尚美「…………」
彩音「アタシの友達の親なんてほとんど別れてるからね」
尚美「……みんな自分勝手なんだよ」
彩音「そうかな?」
尚美「え?」
彩音「もっといろんな理由があるんじゃないの? 男と女だし。アタシはそう思うけど」
尚美「お互いに相手のことを思い合うのが夫婦でしょ?」
彩音「尚姉ってホントにロマンチストだね」
尚美「は?」
彩音「実際はもっとドロドロしてるぞぉ」
尚美「あんただけには言われたくない」
彩音「尚姉が現実を知らなさすぎるだけ」
尚美「…………」

ファッションストアで買う物を選んでいる尚美と彩音。
ペアの湯呑みを購入する。

彩音「当日はそっちに行くね」
尚美「(急に) いい。私が渡しておく」
彩音「ええ? せっかくなんだし、娘ふたりで渡したほうが―」
尚美「大丈夫。あんたはこっちで旦那さんと仲良くやってて」
彩音「でもそれじゃあ―」
尚美「いいの」

と、湯呑みの入った紙袋を受け取る。
彩音は尚美に押し切られて不服そう。
尚美、中年の夫婦が仲良く歩いているのを見る。

彩音「これからも父さんと母さんは仲良くやっていくんだろうね」
尚美「…………」
彩音「どうかした?」
尚美「ん? ううん」

彩音が首を傾げる。
駿の留守番メッセージが流れる。

駿の声「(先行して) 尚美? 俺だけど―」

<第8話へつづく>

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