シナリオ「あなたの支えになれるなら」
《登場人物》
直林正純 … 玉木璃玖
築島文華 … 荒井萌
BGM1がスタート
文華「…え、どういうこと?!」
正純「言葉通りだよ」
文華「意味がわからない」
正純「もう無理なんだ」
文華「どうして?」
正純「これ以上、お前を都合の良い女として扱いたくない。だから別れてくれ、頼む」
文華「イヤ! 正純は私の支えなの!」
正純「文華…」
文華「お願い、直すから何でも言って。私のどこが悪かった? 接し方? LINEの頻度? それともご飯の味付―」
正純「(遮るように)文華!」
文華「…………」
正純「もうこんな奴を相手にしないでくれ。お前がいながら俺は…たくさんの女と関係を持った最低な男なんだ」
文華「私はただ、あなたが心から望んだことを叶えたかっただけ」
正純「俺が間違ってた。すまない。どうか大切にしてくれる人と幸せになってほしい。だからお前の家へ来るのもこれで最後だ」
文華「行かないで!」
SE ドアがバタンと閉まる
(と同時にBGM1も止まる!)
SE 外の音スタート(回想前まで)
SE 歩行音(※正純)
SE 速足(※文華)
文華「待って!」
正純「俺の気持ちは変わらない」
文華「…ちょうど、この橋の上だったよね」
正純「え?」
文華「正純、若きウェルテルみたいだった」
(※回想)
BGM2がスタートして、
文華「ちょっと何してるんですか!」
正純「(涙声で)邪魔するな!」
文華「やめてください!」
正純「(涙声で)離せ!」
文華「死ぬなんて間違ってます!」
正純「(涙声で)また大好きな人を傷つけちまった。どうして…どうして俺はいつも同じことを繰り返しちまうんだ」
文華「正純さん―」
正純「(涙声で)悔しい…どんなに頑張っても変わらない自分が! 彼女を笑顔にさせられない自分が! 好きな人に愛されたい! 女を知りたい! 男として生まれてきた意味を知りたい!」
文華「……手伝ってあげる」
正純「え?」
文華「私が…あなたの支えになるから」
BGM2がフェードアウトして、
(※回想終わり)
SE 外の音(再開する)
正純「あの日は酒も入ってたし、それにただのバイトの後輩だと思ってたお前が…まさかあんなこと言い出すなんて―」
文華「初めて会った日から正純のこと、支えたいと思ってた。何があっても一生かけて素敵な人にするって心に誓ったの」
正純「…………」
文華「とてもうれしかった。私の部屋でたくさんあなたに愛を教えてあげられたから。女を知っていくたび男らしくなるあなた
をこの心と体で感じて…満たされた」
正純「確かにずっと心の支えだったさ」
文華「正純―」
正純「昔の俺は恋は純粋で一途なものが素晴らしいって思ってたから。でも、ずっとお前に甘えていた。女を口説くことも抱くことも、絶対に裏切らないお前がいてくれたから平気で出来たんだ」
文華「たとえどれだけの女を抱いても、私はあなたが幸せならそれでいいの」
正純「そんなのはもう終わりにする。やっぱ恋愛って誰かを一途に愛することだ」
文華「今さら戻れるの?」
正純「え?」
文華「たくさんの女のスイッチを押してきたあなたが、何も手に入れられなかったころのピュアで惨めな自分に」
正純「…………」
文華「お願い、考え直して。私はあなたが必要なの。何でも言うこと聞くから。支えになりたいの!」
正純「…俺たち、出会わなければよかった」
文華「え?」
正純「あの日、ここでお前に泣きつかなければよかった。あのまま俺を死なせてくれればこんなことには―」
SE 歩行音
文華「…正純。正純――!」
SE 外の音はここまで
正純M「自分の部屋へ戻ってすぐに後悔の念が襲ってきた。自らの行いを責めるとともに文華にもっと優しく接するべきだったと。そんなことを思っていると―」
SE インターホン
正純「…はい」
正純M「ドアの向こうに文華の姿。出るべきかどうか、一瞬躊躇ったが―」
SE 玄関ドアが開く
文華「さっきはごめんなさい」
正純「…俺も言い過ぎた」
BGM3が始まり、
文華「私、決めたの」
正純「え?」
文華「正純の言うこと、聞く。これで最後」
正純「…そうか」
文華「だからひとつだけ、わがまま」
文華M「私は彼の胸に顔を埋めた。片手に持ったものを後ろに隠したままで―」
正純「文華…」
文華M「すべては彼の願いを叶えるために」
正純「(回想・前の音源で) あのまま俺を死なせてくれればこんなことには―」
文華「…ごめん、実は前にお風呂場に忘れ物しちゃってたの思い出して」
正純「…俺が取りに行く。どの辺りだ?」
文華M「彼が背を向けると同時に私は後ろ手のそれを静かに振り上げ、そして―」
正純「(異変を察して)…文華?!」
文華「(恍惚な声で)これでまた、あなたの支えになれる」
SE バタンと玄関ドアが閉まる!
と同時にBGM3がピタッと止まる。
そして訪れた…静寂。
おわり
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