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2019年3月15日(金)。
東京は中目黒のキンケロシアター。

キンケロシアターといえば、あの名優・愛川欽也氏が建てた劇場だ。
まさか今回、伝説の劇場で知り合いの舞台を観られるとは思わなかった。

ことのはbox 第9回公演
よ、行機の高く飛べるを」

公式サイト
舞台公演サイト

タイトルに「飛行機」が出て来るので戦地の女性たちを描いた物語かと思いきや、国や時代から良妻賢母というルールを押し付けられた女学校の学生たちが社会の在り方に反抗していく人間ドラマだった。

メインキャラは”杉坂初江”と”光島延ぶ”。

ど真面目で地味な勉強家・杉坂。
才色兼備で学校の人気者・光島。

対照的なタイプのふたりは、読むことを禁じられている小説を巡って仲良くなっていく。
やがてふたりは仲間たちを集めて平塚雷鳥のように新しい女性像を掲げるため、一冊の本を作り上げようと画策する。

しかし、次第に計画にほころびが出始める。
不純異性交遊を疑われた仲間が無理やり退学させられ、国の決まりや校長による圧力がかかり、さらに味方だと思われた者の裏切りによってどんどん抜けていく仲間たち。

最後に残ったのはメインのふたりだけ。

このまま社会へ抵抗し続けるのか?
はたまた、もとの生活に戻るのか?

杉坂と光島、それぞれが選んだ道とは……

中盤から感情の攻防戦が熱かった。
穏やかな前半と打って変わって、どんどん感情のぶつかり合いが加速していく。

それぞれの言い分は間違っていない。
なのにすれ違ってしまう悲しみ。

上演中、セリフ回しや掛け合いの上手さに何度か思わず笑ってしまった。
それがシリアスな場面でも、だ。
キャラ全員の個性がフルに発揮されているのだ。
そこがとにかくおもしろい。

どのキャラクターも印象深く、出て来るたび強烈なインパクトを残す。
ホントに役者さんたちはスゴイ。

個人的には杉坂のほうに感情移入した。

物語に出て来る主人公は、みんな孤独だ。
自分の目的のために何かを成し遂げようとすると、必ず逆風に遭うし大いなる犠牲も払うことになる。
それでも孤立無援で孤軍奮闘する姿勢に心震えた。

自分の夢のために払う犠牲、伴う苦痛、それらをつらくても受け入れて前へ進もうとこの舞台を通して心に誓った。

観劇後、山森ちか役の難波なうさんと再会。

去年末に行われた舞台「今度は愛妻家」以来で約3カ月ぶりに会ったのだが、その演技にはさらなる磨きがかかっていた。

登場シーンからキレッキレの動きを披露し、クリアな活舌で叫ぶ声から囁き声まで完璧に使いこなすプロ意識の持ち主。
表情も置かれている状況にドンピシャで、洗練された天性のセンスに脱帽した。

次回の公演もとても楽しみだ。

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