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〇みなとみらい周辺
観光客で溢れかえっている。
青空の中、太陽が夏の暑さを主張している。

〇ビルの中
横浜の風景を日陰から見ている怪しげな男。
手元のスマホには昔の横浜の画像が―

男「…………」

〇オープニングナレーション
飛崎N「昔のドラマのほうが良かったと嘆く人がいる」
見留N「時代が変わればドラマのテイストは変わる」
飛崎N「昭和のデカはド派手にドンパチやっていて」
見留N「平成のデカは大人しくヒューマン路線」
飛崎N「ローカル局やBSでしか再放送されない昔の刑事ドラマがあれば」
見留N「地上波で何度も再放送される今の刑事ドラマもある」
飛崎N「どうせブログの中の話なら予算度外視でハチャメチャやってみたい」
見留N「読んでいる人の頭の中にあるディスプレイで僕たちが右往左往縦横無尽」
飛崎N「たとえどんなに時代が移り変わっても忘れてほしくないこと、それは―」
見留N「僕たちが刑事ドラマに憧れて刑事になったということ」

〇横浜の名所
ベイブリッジ、中華街、山下公園など。

〇桜木町駅・前
オシャレな姿の見留悟(35)
横断歩道を渡ろうとすると、急にロードバイクが前を横切る。

見留「誰か轢いてからでは遅いのに」

〇山下公園あたり
見留が歩いていると、ふと目が留まる。
帽子、サングラスにマスクとフル装備の男。
さらにデジカメを持っている。
あからさまに犯人風なビジュアルだ。

見留「弱ったな、管轄外だ」

見留、やり過ごそうとする。

見留「それでも現逮は出来る」

が、引き返して男に近づいていく。

〇タイトル
『そんな刑事(デカ)に憧れて』

<登場人物>※dekapediaより抜粋
飛崎進介 ひざきしんすけ 36歳
巡査部長。警視庁東永福警察署捜査一係。
横浜の危なっかしい刑事コンビのドラマに憧れて刑事になった男。
あのふたりのような破天荒キャラに憧れてはいるものの、実際は親孝行でマジメな健康主義者。
無遅刻無欠勤、始末書ゼロ、おまけに表彰状の授与も数回、モデルガンづくりが趣味(case1)。
ポリープ持ちで、定期的に検査を受けている(case2)。
女性との浮いた話は皆無に等しい(case3)。
同じ志望動機を持つ見留と相勤の時だけ、憧れの刑事っぽく振る舞いたがる。

見留 悟 みとめさとる 35歳
巡査部長。警視庁捜査一課。
警視庁の特命な刑事コンビのドラマに憧れて刑事になった男。
あの警部殿のように正義を貫いているが、そもそも周りの同僚に相手にされていない。
入庁前にたくさんのバイト先を転々としていた過去をもつ。
通称「トメ」。ただしこの呼び方をされると、千葉に住む母方の祖母を呼び捨てにされているようで不快になる(case1)。
病院での捜査の際、飛崎が服用していた下剤をスポーツ飲料と間違えて飲んでしまい大変な目に遭ったりと天然なところがある(case2)。
時折恋多き過去を匂わせるが、本人は否定している(case3)。

〇もとの山下公園
見留「ここで何してるんですか?」

と、怪しい男の肩にポンと置かれる手。
振り返る男、驚きを隠せない。

男「(思わず)ト!!」
見留「と?」
男「いえ、なんでも」
見留「ここで何してるんですか?と聞いてるんです。同じこと二度も言わせないでください」

男はなぜかわざとらしげな高い声で、

男「ちょっと観光を」
見留「そんな格好で?」
男「はい」
見留「こちらの恰好の的になるとわかって?」

周りにはたくさんの人たちで溢れている。
見留が警察手帳を出す。
だが男は見ようとしない。

見留「こっちを見てください」
男「見なくてもわかります」
見留「はい?」
男「お勤めご苦労様です」
見留「どうしてそれを?」
男「そのカッコもカッコーのマトですから」
見留「こちらとしては早く用を済ませたいんですが」
男「さてはデートとか」
見留「あなたには関係ないでしょ」
男「きっとフラれるでしょう」
見留「あいにくきょうは快晴です」
男「惚れた晴れたの空の下ってか」

見留、周辺を見渡す。
船上のデッキでイベントが行われている。
ビキニを着た若い女性たち。
もしやと思う見留、男のデジカメを奪いとる。

見留「失礼」
男「あ!!」

見留がデジカメをプレビューする。
出てきたのはビキニのお姉ちゃん、ではなかった。

見留「これは………」

歴史ある建造物の数々。
味のある乗用車・レパード。
デッキのあるおしゃれなレストラン。
まるであの危なっかしい刑事のドラマのロケ地のよう。

見留「あれ?これらはまさか……」

次の瞬間、男がデジカメを奪い返してその場を去る。

見留「待ちなさい!」

見留が男を追いかける。

〇赤レンガ倉庫
逃げる男、追う見留。
ふたりが走る姿は、まさにあの危なっかしい刑事ドラマのエンディングさながら。

見留「待ちなさい!!!」

やっとのことで男に追いつく見留。
ふたりは取っ組み合いになる。
だが、実力はほぼ互角だ。
まるで互いに先の動きを読んでいるように。

見留「この動き……やはり」

男が見留を突き放そうとする。
が、見留は男を取り押さえて変装を解く。
抵抗むなしく明かされる男の正体。
飛崎進介(36)である。

見留「まったく、あなたって人は」
飛崎「……よう、トメ」
見留「何やってるんですか?!」
飛崎「(ボソッと)聖地巡礼」
見留「はあ?」
飛崎「毎年やってるんだよ。こないだ映画でシリーズが完結しちゃったもんだから」
見留「飛崎さん……」
飛崎「お前はいいよ、また10月から新シーズン始まるんだろうから」
見留「そういう問題じゃないでしょう!どうしてそんな格好してるんですか?」

飛崎が帽子とサングラスを取って、

飛崎「サングラスはもちろん、この帽子も服もUVカット仕様だ。紫外線はしみ・そばかすの原因になるからな」
見留「紫外線って……36のオジサンが」
飛崎「おい、男は紫外線気にしちゃいけねえってのか?」
見留「そういう訳ではないですが」
飛崎「最近は男もスキンケアする時代なんだよ。あとは夏バテの防止だな。市民を守る刑事がヘタっちゃ、解決できるモンもできなくなるからな」
見留「なんで逃げたんですか」
飛崎「あんな公衆の面前で注目浴びて捕まったヤツが刑事だったなんてシャレになんないだろうが。しかもよりによって声かけたのがお前だし」
見留「そんな格好してればどんな理由であれ怪しまれるでしょ!」

飛崎が帽子とサングラスを着用する。

見留「ひとつ言わせてください」
飛崎「ん?」
見留「紫外線は白内障の原因にもなるので、気をつけてください」
飛崎「さすがは元メガネ屋の販売員」
見留「職業病なもので、つい」
飛崎「せめて今の職業病であれ!」

しばしの時間経過。
飛崎と見留、海沿いの木陰に佇む。

飛崎「変わったよ」
見留「はい?」

飛崎、スマホを出す。
ディスプレイに昔の横浜の画像が映る。
明らかに変わった現在の風景。

飛崎「あの遊園地もショッピングセンターもベイブリッジもまだなかった」
見留「確かにここ数十年で見違えましたね」
飛崎「ハマったのは大学生のころ、たまたまローカル局で再放送やってたんだ。あの横浜の危なっかしい刑事コンビのドラマが」
見留「(ヨコ)ハマにハマったんですね」
飛崎「キンキンなビールよりも冷えてるな、お前のダジャレ」
見留「それ、褒めてるんですか?けなしてるんですか?」
飛崎「ブラウン管の中のここ(横浜)はいい意味でまだ未完成だった。いや、もうすでに完成してたのかもしれない」
見留「はい?」
飛崎「だからなのか今という時代になかなか魅力を感じないんだ。たしかに生活は便利になって、建物も景色もみんなきれいになった。でも変わり過ぎちまったことで昔がそのうち忘れられていくのがなんかイヤでさ」
見留「…………」
飛崎「きっと昔も今も深いところはなんも変わっちゃいないと思う。でもこの時代がどうも肌に合わなくてな」

若者たちが景色を写メったり、いちゃついたり。

見留「恐らく当時の若者たちが今この時代を生きるとしても、今の若者たちと同じようになったと思います」
飛崎「まだ生まれてなかったからこそ、俺は過ごせなかったあの頃に憧れるのかな」
見留「…………」
飛崎「なんてね」

見留が時計を見て、

見留「しまった!」
飛崎「すまん、デートの約束だったな」
見留「だから違います!」
飛崎「またまた」
見留「とにかく僕はこれで―」

突然、見留の声を掻き消すように響く衝撃音。

飛崎見留「!!」

音のした方向へ向かう見留。
次の瞬間、物陰から見留目がけて猛スピードでロードバイクが出て来る。

飛崎「トメ!!」

あわやというところで飛崎が見留を庇う。
間一髪、最悪の事態は避けられた。

飛崎「大丈夫か?!」
見留「これぞまさにあぶない刑―」
飛崎「今そんなこと言ってる場合か!」

見留、逃げていくロードバイクの後ろ姿を見る。

見留「あれ?」
飛崎「どうした?!」
見留「実は……」

〇フラッシュ
冒頭のシーン。
見留の前を急に横切ったロードバイクとまったく同じである。

〇もとの場所
飛崎「ホントかそれは?!」
見留「間違いありません」
飛崎「ってことは………」

飛崎と見留、音のしたほうへ近づく。
と、倒れている人を見つける。
足から出血している。

飛崎「トメ、通報を!」
見留「もうしてます!」

見留、電話をしている。
そうこうしているうちにロードバイクは離れていく。
飛崎が辺りを見渡すと近くのレンタサイクルが目に入る。

走っていこうとする飛崎。

飛崎「あとは俺に任せろ」
見留「はい?」
飛崎「大事な予定があるんだろ。行けよ、俺ひとりでなんとかするさ」
見留「ですが!!」

飛崎が行ってしまう。
見留、周囲の通行人たちに処置や対応などを指示する。

自転車に乗る飛崎、目を細める。
太陽はこれでもかと言わんばかりに暑さをゴリ押しする。
飛崎、怪しさ満載のビジュアルでペダルを漕ぎ始める。
と、目の前にスポーツ飲料のペットボトルが差し出される。
先に自転車に乗っていた見留である。

見留「刑事は体が資本でしょう」
飛崎「トメ、でもお前!」
見留「汗をかくのは健康に良いですよ、あんぜんデカさん」
飛崎「……熱中症に注意しろよ」
見留「仕事に熱中するなら構いません。熱中症時代刑事編です」
飛崎「よっしゃあ!」

ふたりが自転車を一生懸命漕ぎ始める。

飛崎「なんだかオレが休みの時ばかり事件起きてる気がしないか?」
見留「確かに」
飛崎「トメは休み?それとも非番?」
見留「非番です」
飛崎「かあぁ、仕事終わりからのデートとはキツイな」
見留「だからデートではありません」

ふたりがしばらく並んで自転車を漕いでると、

見留「あ!ひとつ言わせてください」
飛崎「なんだ?!」
見留「自転車の並列走行は道交法に抵触します」
飛崎「だから、今そんなこと言ってる場合か!!」

〇物陰
自転車に乗った飛崎と見留が通り過ぎる。
停車中だったパトカーのランプが点く。

〇路上
飛崎が振り返ると後ろにパトカー。

飛崎「ラッキー!援軍だ!」

大きく手を振る飛崎だが、

スピーカー「そこの自転車2人組、止まりなさい」

飛崎「いやいや、そっちが追うのは俺たちじゃねえって!」
見留「だから言ったじゃないですか!その格好で並列走行はいけないと」
飛崎「マジかよ?!俺たち刑事だぞ?刑事が警官に捕まるなんて冗談じゃねえぞ」
見留「ここではよそ者です!」
飛崎「本店と支店で縄張り争いしてるヒマかよ?」
見留「飛崎さん、手帳を」
飛崎「あ、そうだな!」

と、服の中から警察手帳を出そうとするが、

見留「飛崎さん!前!!」
飛崎「ん?」

目の前の信号は赤。
青信号のほうから大型トラックが勢いよく曲がって来る。

飛崎「おわっ!!!」

飛崎が急ブレーキするが……
大型トラックに隠れて見えなくなる。

見留「飛崎さーーーーーーん!!」

トラックが走り去ると、飛崎が倒れている。
が、すぐに起き上がる。無事なようだ。

見留「これぞまたまたあぶない刑―」
飛崎「だ!か!ら!」

パトカーが追って来る。
なおも逃走する犯人のロードバイク。
見留、飛崎にアイコンタクト。

見留「こっちです」
飛崎「やけにくわしいな」
見留「見留マップ、ハマは十八番のデートコースです」
飛崎「さすがトメ先生!いやトメ師匠!」
見留「だからその呼び方、千葉にいる母方のおばあちゃ―」

カットされる見留のセリフ。

〇路地裏
犯人が一息ついている。
が、車輪の音が近づいてくる。

犯人「!!」

自転車に乗った飛崎と見留が向かって行って―

〇県警・前(夕)
まだまだ太陽は明るさを主張している。
しょんぼりした飛崎と見留が出てくる。

飛崎「せっかくの休みだったのに」
見留「飛崎さんがあんな格好したおかげです」
飛崎「お前が俺に気づくのがいけないんだよ」
見留「ですが、気づいたからこそひき逃げ犯を捕まえられたんです。幸い被害者は軽傷だけで済みましたし」
飛崎「それにしても管轄外のデカふたりがよその縄張りでハチャメチャするとはな」
見留「始末書ものですかね」
飛崎「来る時が来たか」
見留「何はともあれ、事件解決したんですから」
飛崎「いや、まだ解決してないぞ」
見留「はい?」
飛崎「お前のデート」
見留「あ!!」

見留が走っていこうとする。

見留「やめておきます」
飛崎「まだ間に合うだろ?」
見留「最後にひとつ言わせてください」
飛崎「ん?」
見留「決してデートじゃありませんからね」

見留が走っていく。
ニヤリとする飛崎。

飛崎「デカならもっとウマい嘘つけってんだよ」

飛崎、帽子とサングラスとマスクを着用する。

〇近くの道(夕)
日除け完全フル装備、怪しさ満点の飛崎が歩いていると、自転車で近づいてくる影ふたつ。
巡回中の警官たちだ。

警官「ちょっといいですか?」

臆せず飛崎が警察手帳を取り出して、

飛崎「(わざとらしく高い声で)お疲れ様です」

<つづく>

このシナリオはフィクションです。

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