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〇グッドランゲージ××校・教室

英理、ビジネスマナーに関する本を読んでいる。
傍らに書きかけの履歴書。

英理「…………」

テーブルの上に広げられた紙切れ。
中身は見えない。
英理、思い切り髪を掻き毟る。

〇街

ジェニファーがバス停に立っている。

ジェニファー「……」

やってきたバスに乗り込む。
行き先は空港。

〇もとの教室

レッスン中の英理だが、視線はずっと紙切れに向けられている。
首を傾げる生徒。

ジェニファーの声「見た目や言葉やルールの違いが何だって言うの? 何で先生は自分らしくいようって思わないの?」
英理「…………」
ジェニファーの声「私は友達じゃないんだね?」
英理「……Sorry, Jennifer」

次の瞬間、英理が紙切れを握りしめて教室を飛び出していく。

〇同・事務所

急いで玄関へと向かう英理。
が、加瀬木に見つかってしまう。

加瀬木「何してる?! レッスン中だぞ!」
英理「ブレイクさせてください」
加瀬木「ダメだ、戻りなさい!」
英理「でも!」
加瀬木「非常識にも程がある。今すぐレッスンに戻るんだ」
英理「…………」
加瀬木「戻れ!!」

意を決して走り出す英理。

加瀬木「おい待て!!」

〇街

脇目も振らず、全力で走っている英理。

〇空港・搭乗口受付

受付の前でジェニファーが立ち止って振り返る。
人混みが見えるだけ。

ジェニファー「…………」

ジェニファーが受付を通過して数歩進んだところで、

英理の声「ジェニファー!!」
ジェニファー「!」

英理が追いつくも、ジェニファーとの間には受付という関門が。
息が切れている英理。
微笑むジェニファー。

ジェニファー「どう、この服?」
英理「は?」
ジェニファー「現地の人に見えるでしょ?」
英理「…………」
ジェニファー「あまりこういうの着ないから恥ずかしくて―」

英理が紙切れの中身を見せる。
『Thank you elian』。
よく見ると、エイリアン(alien)のスペルであるaとeが逆になっている。

英理「これ……スペルがちがうよ」
ジェニファー「わざとに決まってんじゃん。てか、それを言いにここへ? 授業中じゃなかったの?」
英理「それは……」
ジェニファー「早く戻りな。ガツンと言ったら、帰ってくるんだから」
英理「……わかってる」
ジェニファー「あ~あ、今度は私がエイリアンになっちゃう」
英理「え?」
ジェニファー「先生の気持ち、向こうに行ったら少しはわかるかもね」
英理「…………」

場内アナウンスが流れる。

ジェニファー「もう行かなくちゃ」
英理「……グッドラック」

英理が手を振る。
ジェニファーは一礼して歩き出す。
二人の距離が離れて行く。
ジェニファーの姿が見えなくなっても英理はずっと手を振っている。
飛行機の飛び立つ音が響いて―

〇街(夜)

交差点で信号待ちをしている英理。
信号が青になり、群衆が動き出す。
英理も前を向いて歩き始める。

〇××大学・学食

T「数日後」
ランチタイムで超満員。
英理、定食が並んだプレートを持って席を探している。
と、空いている席がひとつだけ。
近くには仲良しグループの学生たち。
足を止める英理。

英理「…………」

引き返そうとする英理だが、意を決して一歩踏み出す。

英理「あ、あの―」
学生たち「?」
英理「……ここ、いいですか?」

学生たちが快く英理を招き入れる。
ホッとする英理、ゆっくり腰掛ける。
会話の中に入り始める英理。
緊張気味だった英理の顔に少しずつ笑顔が浮かんできて―
〈終わり〉

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