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〇グッドランゲージ××校・事務所(夕)

納得のいかない英理。
眼前に険しい顔の加瀬木一夫(50)。

加瀬木「またクレームだ」
英理「…………」
加瀬木「なあ、これでもう何回目だ?」
英理「…………」
加瀬木「その生徒さん、古株なんだぞ? 懇意にしてくれる大事な人なんだぞ!」
英理「(ボソッと) フルカブ? コンイ?」
加瀬木「既知のことをいちいち年下のお前に言われるのがムカつくんだとさ」
英理「(ボソッと) キチ?」
加瀬木「やめるって言い出して、留意させるの大変だったんだからな!」
英理「(ボソッと) リュウイ?」
加瀬木「って何をボソボソ言ってんだ!」
英理「むずかしい日本語、わからなくて」

加瀬木、舌打ちする。
英理の顔はムッとしている。

加瀬木「いいか、相手は日本人ってこと忘れないでほしいな」
英理「(ボソッと) わたしも日本人です」
加瀬木「出来たら褒める、出来なくても褒める。それがここのルール! わかる?」
英理「……なんとなく」
加瀬木「何となくじゃ困るんだよ。サービス業なんだから、しっかりサポートしてもらわないとさ!」
英理「…………」
加瀬木「どうせ帰国子女だからそんな態度してるんだろ」
英理「(ピクッと反応して) は?」
加瀬木「何でも知ってるって顔しちゃってさ」

拳にギュッと力を込める英理、壁のポスターをちらっと見る。
『ホンモノの英会話を!』というキャッチコピーとともに笑顔で載っている社長は日本人である。

英理「(ボソッと) なにがホンモノよ」
加瀬木「何だ?」
英理「……わかりました」
加瀬木「いったい何がわかったんだ?」
英理「きょうでリタイヤします」
加瀬木「そうやって逃げんのか。最近のヤツはみんなそうだ」
英理「だってそういうコトでしょ?」
加瀬木「もういい。所詮、バイトだしな」
英理「…………」
加瀬木「わかった。今日で辞めていい。でも、今日の授業が終わるまではここにいろ」
英理「は?」
加瀬木「それが雇ってもらった者の最低限のマナーってもんだ」

加瀬木が去っていく。
英理は納得いかない。

〇同・廊下(夕)

英理が歩いている。
と、辺りをキョロキョロしているジェニファーを見つける。

英理「Excuse me」
ジェニファー「?」
英理「What`s happen?」

ジェニファーが流暢な日本語で、

ジェニファー「事務所、どこ?」
英理「(驚いて) え?」
ジェニファー「英会話習いに来たんだけど」
英理「(信じられず) What`s?」
ジェニファー「何か文句ある?」
英理「……べつに」
ジェニファー「で、事務所は?」
英理「えっと―」
加瀬木の声「こんにちは!」

どこからか満面の笑みを浮かべた加瀬木がやってきて、

加瀬木「ジェニファーさんですね、たいへんお待ちしておりました」
ジェニファー「どうも」

加瀬木、英理そっちのけでジェニファーにビジネストークを始める。
ジェニファー、加瀬木に誘導されて事務所のほうへ消えて行く。
ひとり取り残される英理。

〇グッドランゲージ××校・休憩室(夕)

宮本菜々実(27)をはじめとしたスタッフたちがご飯を食べながら楽しく会話している。
買い物袋を持って近くを通る英理、会話に耳を澄ましてみるが理解できない様子。
菜々実が気づいて、

菜々実「あ、エリちゃん」
英理「こんばんは」
菜々実「お疲れ。ねぇねぇ、ニュース見た?」
英理「ハイ?」
菜々実「ソングガールズ、再結成だって!」
英理「Song girls?」
菜々実「ほら、ウチらが中学のときに流行ったアイドルグループだって!」
英理「…………」
菜々実「あ、そっか。エリちゃんはずっと海外だったもんね」
英理「…………」
菜々実「ヘンなこと聞いちゃってゴメンね」

菜々実が同僚たちと会話を再開したと思いきや、突然一斉に歌いだす。
蚊帳の外にいる英理、理解できない。

<第3話へつづく>

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