俳優の梅田洋輔さんが出演された舞台を観ました
舞台鑑賞強化月間第2弾。
2019年9月6日。
東京は東中野バニラスタジオにて。
ドレスダウンの女
ほんぬい公演『ミツバチ』を観劇。
脚本・演出:ノムラハルカ
ミシマサホ
ノナカモヱリ
溝畑藍
梅田洋輔
菜々水
星野雅
藤田侑乃
日付を見て気づいた方もいらっしゃるだろうが、個人的にお会いしたい役者さんがふたりいて、偶然同じ時期に別の場所で舞台に出演されていたのだ。
昼の『歌姫』、夜の『ミツバチ』
同じ日にお芝居を2本も観られる贅沢なひととき。
この作品、独特の演出がされている。
現地に到着して席へ着こうとしたら、すでに役者さんたちが勢ぞろいして舞台上にいるのだ。
そしてスマホを観たり、話し合ったりと自由に動いている。
驚いたのは上演開始5分以上前と上演後の舞台撮影が可能ということ。
上の写真のように、白い壁にプロジェクターからロゴや文字が映し出されている。
上演中にLINEのやり取り画面やtwitterのつぶやき画面を映し出すという斬新さ。
さらに山手線車内や高田馬場駅構内の音声、iphoneの着信音やLINEの電話呼出音まで使用され細部にまでこだわられていた。
セリフ回しも独特であり毒々しい。
ツルツルとか子宮的な衝動とかデリバリーとか、下ネタをところどころ連想させるまるで”5時に夢中!”的な下世話なカンジがとても良い。
物語は2つのパートが同時進行で展開される。
片一方はひとりの男をシェアする女性ふたりの話。
・日雇いバイトのミチ(ミシマサホ)
・派遣社員のアサコ(溝畑藍)
・シェアされる男のタマキ(梅田洋輔)
もう一方は田舎から都内へ戻った女性とその関係者の話。
・香川県から戻ったちなみ(菜々水)
・ちなみの義兄のコウキ(星野雅)
・ちなみの幼馴染みのふうこ(ノナカモヱリ)
・不思議なオーラ全開の中山さん(藤田侑乃)
都内へ戻って来た女性のパートで印象深かったのが、ちなみの「『三位一体ファミリアン』という家族戦隊アニメを観ていたが合体シーンが物議を醸して第3話で深夜枠へ移動させられた」というセリフ。
我々の世代でいう「トゥナイト2」だろうか(笑)
あの何とも言えない親にバレるかバレないかの瀬戸際で観たがるギリギリのライン。
とても共感している自分がいた。
そして何でも規制ばかりしようとする勘違いたちがはびこる今の世の中への皮肉とも捉えた。
もうひとつのシェアする女性たちのセリフで印象深かったのが、アサコの「向かい側のホームで、ミチとタマキがゲロ吐いてた口でチューしてて」というセリフ。
ミチはラフなカンジで、アサコはしっかりした感じ。
ミチというキャラだから出来ること、アサコにはできないことがはっきりとイメージできてゾクッとした。
女性だからわかる、ツボに入る描写が多いのだろう。
観たのは19時30分からの夜の部で、観客は若い女性がほとんど。
男は自分を含め、ホントに数える程度だった。
上演中に観客の女性たちが皆笑ってうなづいて共感しているのを見て、主宰のノムラハルカさんが感情移入させるプロなのだと実感した。
終演後、俳優の梅田洋輔さんにお会いすることができた。
撮影協力:コウキ役の星野雅さん
梅田さんは先月、友人で女優の難波なうさんと舞台『マインドファクトリー~丸める者たち~』で共演されており、彼が劇中でプロテインを2度もがぶ飲みさせられるシーンがとても印象深かった。
野球部内でのパワハラがテーマの『マインドファクトリー』。
まるで悪魔のような野球部監督が女子生徒たちを犯したり、部員を殴り蹴り自殺へ追い込みかけたりと全編救いのない空気が漂うなかで梅田さん演じる丸坊主の野球部員・吉川はコメディポジションとして客席に束の間の救いを与えてくれた。
とても印象に強く残ったので、後日所属されている劇団のホームページで本来のプロフィール写真を拝見したら彼がミディアムヘアだったので驚いた。
そんな丸坊主の高校生が1か月で金髪のモテ男へと華麗なる変身を遂げられていた。
これぞ役者の鑑だ。
役柄はタマキという若い男。
彼は日雇いバイトの女・ミチと契約社員・アサコのふたりに「シェア」されている。
恋人でもセックスフレンドでもない、パートナーシップのようなものとフライヤーには書かれている。
前述のようにミチはラフなカンジで、アサコはしっかりとした感じ。
自宅のソファ上での彼のそれぞれの女性に対する態度の差がおもしろい。
ミチとはベッタリいちゃつくのに、アサコとは体育座りで向き合っている。
動き方からセリフのニュアンスまでタマキに成っている。
まさにそこにタマキというひとりの若者が確かに存在し、動いているのだ。
終演後、嬉しいことに梅田さんのほうから挨拶して下さった。
実はお会いしてお話するのは初めてだ。
とても誠実な方で、和やかな雰囲気を持った方。
さっきまで金髪のモテ男だった人とは思えぬほど、物腰柔らかだったので驚いた。
twitterで度々リハーサル風景を拝見していたが、みんなのムードメーカー的存在だったに違いない。
来月も所属劇団の公演に出演されるので楽しみだ。
引用元:ドレスダウンの女様
東中野駅へと向かう帰り道の途中、前を歩いていた観客の集団が物語の感想について熱く語っているのを見て、とても素敵なことだと思った。
なお、本公演の脚本が販売されていたので早速買ってダウンロードした。
今や脚本もペーパーレスの時代か!
(電子書籍を売ってる自分が言うのもアレだが…)
スマホ画面に出て来る文章に書き手の癖を味わいながら、出演者たちがどのような思いで読んでいたのかを電車の中でイメージしながら帰路に着いた。
この記事へのコメントはありません。