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2020年2月7日。
東京は池袋、スタジオ空洞にて。

吉祥寺GORILLA第二回公演『グロサリー』観劇。

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脚本・演出
平井隆也

キャスト
平井泰成(吉祥寺GORILLA)
榎本悟(シアターキューブリック)
川上献心(劇団風情)
小島明之(カムヰヤッセン)
長友美聡(:Aqua mode planning:/DULL-COLORED POP)
まと きいち
森崎真帆

岡野優介(クロムモリブデン)

ヨシケン改(動物電気)

出典:吉祥寺GORILLA様

はじめに

今回、こちらの劇場に伺った理由。
それは出演者やスタッフにまったく知り合いがいない舞台を観てみたいと思ったからです。

これがとても新鮮でした。
前情報もなく先入観を持たないため、どんな役者さんたちがどのように動くのか開演前からワクワクが止まりません。

本作は主宰・平井隆也さんによるオリジナル脚本で、スーパーマーケットの裏側を舞台に描かれているとあらすじにあったので思わずニヤリ。

知らなかった用語を聞けたり仕事の動きを見たりできるので、専門的な場所での人間ドラマはこの上なくワクワクします。

公演チラシのご挨拶欄に主宰の平井さんがスーパーで働かれていると知って合点がいきました。
本編の登場人物のセリフにご出身の北海道がでてくる遊びも素晴らしいです。

あらすじ

物語の発端はバラバラ殺人事件。
被害者は舞台となったミタカの小さいスーパーマーケットの女性店員で、無惨な姿で段ボールの中に入れられていたという。

警察の調べが入ったり、商品券がレジから盗まれたりと騒がしい店内。
そこのグロサリーで働くひとりの男・かわかみ

<グロサリーとは?>
グロッサリーとも言って、中食主体の食料品・生活雑貨・日用品などを総称する言葉。
転じて食料雑貨店のことである。食料雑貨、食品雑貨などと訳す。

かわかみ“は小説家を目指している。
ワープロではなく鉛筆派で今でも学生時代に書いた原稿用紙を大事に持ち歩いている。
ところが書きかけたその作品の続きがどうしても書けないでいた。

ある日、”かわかみ“の前に見慣れた男が現れる。
彼の名は”はやま“。

ふたりは高校時代の同級生で、学校に馴染めない仲間はずれグループのメンバーだった。

はやま“のあまりに突然で不自然な出現に驚く”かわかみ“が事情を聞くと、何とここに勤めることになったという。

「次の仕事が見つかるまでの繋ぎだ」と”はやま“は言うのだが……

そんな折、今度は脅迫状が届く。
それを皮切りにスタッフたちの間で窃盗や不倫といった不祥事が起きていたことが明るみになっていく。

どんどん大きくなる不協和音の一部始終を興味津々に撮影するスタッフ・おかの
彼はYouTuberをしており、事件のことやいざこざとなると興味本位でスマホカメラで撮影する変わり者だ。

とある夜、再び血まみれの空っぽな段ボールが道に置かれるという事件が発生!
しかもその隣にはある人物が倒れていた。

その様子を偶然見かけて撮影していた”おかの“は段ボールの横に倒れていた人物が誰なのか、証拠を提示してまるで刑事か探偵のようにその人物を問い詰めていく。

果たして犯人はいったい誰なのか?

登場人物紹介

本作の登場人物は一部を除き、役者の苗字が役名になっている。
さらに店長以外のスタッフはエプロンにひらがなの名札を付けているのが何ともニクい。

かわかみ <グロサリー担当> 演:川上献心
本編の主人公で案内人。夢は小説家。
高校時代に”まつだ”、”かとう”、”はやま”の3人とつるんでいた。
“かとう”は自殺し、”はやま”とは疎遠に。
現在はスーパーマーケットでバイトする傍ら、”おかの”とYouTuberをしている。
一見お人好しで優しそうに見えるが、裏ではある人物にドス黒い嫉妬心を向けている。

はやま <グロサリー担当> 演:平井泰成
“かわかみ”の級友。
仕事の覚えも早く、スタッフたちともすぐに打ち解ける。
“かわかみ”の前に姿を現し、次の仕事先が見つかるまでここで働くと言う。
実はそれにはある目的があった。

おかの <グロサリー担当> 演:岡野優介
独特な風貌で、神出鬼没な自由人。
“かわかみ”と組んでYouTuberをしている。
今回の殺人事件に興味本位で首を突っ込み、ことあるごとに休憩室で捜査会議と題してスマホのカメラで撮影している。

えのもと <青果担当> 演:榎本悟
体育会系の青年。霊感がある。
遺体が入った段ボールの第一発見者で、日課であるロードワーク中の出来事だった。
そのときの一部始終を話し出すと、取材を受けた証言者のようになる。
レジ担当の”もりさき”に好意を寄せている。
しかし奥手なため自分からは話せず、いつもシャドウボクシングをして気を引こうとする。

なお、彼が愛しの”もりさき”に差し入れとしてバナナを持っていくシーンがある。
これって、まさか吉祥寺GORILLA公式ホームページの背景になっているバナナとリンクしてるのか?と、観劇後に驚く。

まつだ <デリカ(惣菜担当)> 演:まと きいち
“かわかみ”と”はやま”の級友。
髪をピンクに染めてはいるが、社会のマナーを守っていて本作では最も常識人である。
友達思いで、”かわかみ”の身に起きたある出来事を知って助けようとする。

ながとも <レジ担当> 演:長友美聡
声優志望の女性。31歳。
店長の”こじま”と大人の関係を持っている。
年下の”もりさき”と若さを比べて嘆いたりと悲哀が滲み出るお姉さん。
事件解決後、思わぬ事態に巻き込まれることに…

もりさき <レジ担当> 演:森崎真帆
21歳。今どきな女子大生。
事件後に入社したため、一部始終は知らない。
店内で起こるゴタゴタに嫌気が差し、そろそろ辞めようと思っている。
中盤でとある嫌疑をかけられる。

よしい <副店長> 演:ヨシケン改
哀愁漂う中間管理職のお父さん。
休憩室で行われる捜査会議に参加する際はパンと牛乳を持ってノリノリ。
店長の”こじま”とは折り合いが悪い。

こじま <店長> 演:小島明之
スーツの似合う東大出身のエリート。
凄惨な事件が起きているというのに我関せずな本社の対応と現場からの板挟みにあって怒りをあらわにする。
かなりの浮気性で、レジ担当の若い女性スタッフたちに手を出している。
こっそり”まつだ”に謎の黒い袋を運ばせている。

印象に残った役者さん

川上献心さん
主人公・かわかみ役。
彼の時折見せる鬱屈した表情にゾッとしました。

自分に無いものを持つ”はやま”に嫉妬する。
彼は周りと仲良くなり信頼され、彼女もいる。
しかもそれらを自慢するわけでもない。
でもそれがとても鼻につく。

人間には決して公平なんてない。
生まれた場所も育った環境もみんな違う。
価値観や優劣は無意識に沁みついてくる。

劣等感を持った者がそれを克服するのにどれだけの困難と覚悟がいるかを教えられました。

岡野優介さん
個性的で粘着質な男・おかの役。
終演後に帰ろうと出口へ歩いていると、すれ違いざま「ご覧いただきありがとうございました」と明るく挨拶をしてくださいました。
とても礼儀正しい方で、役とのギャップに驚いたのは言うまでもありません。

前回の旗揚げ公演「くるっていきたい」にも出演されており、ギャラリーでその素晴らしいお芝居を披露されています。
ある意味で本作の主役だったのでは?

で、犯人は誰?

※以下ネタバレのため、お気をつけください。

血まみれの空っぽな段ボールの近くに倒れていたのは”かわかみ“だった。

たまたま通りがかった”まつだ“が”はやま“を呼び出し、倒れている彼をふたりで家まで介抱した。

はやま“がスーパーに来た理由、それは”かわかみ“を救うためだった。

学生時代に彼の中に潜む闇を知っていた”はやま“は、スーパーで働く現在の彼の目に同じものを見つけたのだ。

何とか”かわかみ“を救いたい、その一心で段ボールのそばで倒れている彼を介抱したのだ。

ところがその様子を撮影していた”おかの“は休憩所で”かわかみ“を問い詰める。
倉庫で見つけたという段ボールを持ってきて。

そのなかには血まみれの残骸があった。
それはまぎれもなく事件に関わるもの。

かわかみ“はパニックになってしまう。
それをただただ見ていることしかできない”まつだ“と”はやま“。

何より決定的だったのは今回の事件の内容は”かわかみ“が書いた小説に酷似しており、誰の犯行かはもはや火を見るよりも明らかだった。

皮肉なことに”はやま“は学生時代にその小説を読んでいた。
彼の抱いていた心配は当たってしまった。

やがてパトカーのサイレンが近づいてきて……

数日後、スーパーマーケットは閉店に。

かわかみ“は証拠不十分で釈放されたという。

スタッフたちは自分の荷物を持って解散することになった。

しばらくしてレジ担当の女性・ながともがやってきて荷物を持っていこうとすると、そこへ”おかの“が現れる。

いつものように世間話をするふたり。
が、彼女の背後で彼はなぜか手袋をする。

気づかない”ながとも“。
彼女にゆっくり近づく”おかの“。
彼の手にはロープが握られていた……

そう、真犯人は”おかの“だったのだ!

彼もまた”かわかみ“の小説を読んでいた。
どこからか小説を持ってきて、ロッカーの前に落ちていたと言うシーンがある。

かわかみ“と交流するうちに、彼の中にある闇を知ったと考えられる。
犯行を彼になすりつけることは可能である。

血まみれの空っぽな段ボールを置いたのも彼。

事件が終わった(ことになっている)今、”おかの“は第二の犯行を実行することにしたのだ。

彼が今まさに”ながとも“の首にロープをかけようとしたとき、

「おはようございます!」

現れたのは”かわかみ“だった。
驚くふたり。
そして暗転する舞台。

やがて明転。
まつだ“と”はやま“が来たときは時すでに遅し。
おかの“が椅子に座って事切れていた。

そしてテーブルの上には血文字でタイトルの書かれた”かわかみ“の小説があった。

ながとも“の安否は?
かわかみ“の行方は?
おかの”の犯行の動機は?

答えを我々の想像力に問いかけて物語は終わる。

おわりに

衝撃のラストで幕が下り、カーテンコールが無いことにビックリ。
でもそれが新鮮でとても良かったです。

終演後、主宰の平井隆也さんにご挨拶させていただきました。
お客様に囲まれる人気者で、とても物腰柔らかで素敵な方でした!

本作はステージの真ん中にテーブルとイスがあるのみで、いろんなシチュエーションが繰り広げられるすごさ。
さらにテレビのライトや音声なども細部にまでこだわられていてこの上なく感動。

次回公演は暑さが落ち着いたころに予定されているようなので、その時またお伺いします。

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