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〇電車の中(朝)

曇り空。
車内はそれなりに人が乗っている。
ドア付近に立つ俊介が窓の外を見ているが、表情はどこか険しくて―

〇井坂家・前の道(朝)

愛乃の実家を少し離れたところから見ている俊介。

俊介「(拳を握って)」

ふと我に返って、去ろうとする俊介。
井坂家の玄関が開く。

俊介「(振り返って)」

愛乃の面影がある女性が幼い女の子を連れて出てくる。

俊介「(驚いて)」

現在の愛乃(27)の表情はあの頃とは違って顔にはハリがなく、年齢の割にかなり老けて見える。

俊介「…………」

愛乃と娘らしき女の子、出かけるのか車に乗り込む。
夫らしい男性の姿はそこにない。

俊介「(様子を見ていて)」

愛乃の運転する車が動き出し、俊介の方へと向かってくる。

俊介「(身構えて)」

すれ違う俊介と愛乃の車。
愛乃の車は何事もなく俊介の横を通り過ぎていく。
俊介、振り返る。

俊介「…………」

〇テーマパーク

昼過ぎの園内はカップルや夫婦、家族連れで賑わっている。
俊介が若い女(また違う女)とデートしているが、どこか浮かない顔。

俊介「(笑顔を取り繕って)」

〇ホテル・前(夜)

歓楽街の路地裏。
俊介と女がやってきて、ホテルの前で止まる。
俊介、ホテルを見上げる。
女はまんざらでもない様子。

俊介「(迷っていて)」

意を決する俊介、女をその場に置いて去っていく。

〇繁華街(夜)

若者たちで賑わっている。
俊介がやってくる。
里美の姿はない。
俊介、辺りを探すが見つからない。

俊介「(少し焦り気味)」

俊介の背後で「お願いします」という若い女の声がする。
俊介が声の方へと顔を向ける。
だが里美ではなく、ティッシュ配りの女性である。

俊介「(違ったか)」

俊介、ティッシュを受け取らずに探し続ける。
少し離れた物陰から里美が俊介の様子を見ている。

里美「(俊介を見ていて)」

里美が去っていく。

〇里美の通う大学・外観

〇同・構内

昼休み。
イチョウの葉や紅葉が所狭しと地面を埋め尽くしている。
さまざまな場所にキャンパスライフを楽しむ学生たちの姿が見える。

〇同・小教室

窓の外、学生たちが歩くのが見える。
里美がひとりでご飯を食べている。
廊下で聞こえる足音が徐々に近づいてきて、スーツ姿の俊介がやってくる。

俊介「ここにいた」
里美「(驚いて)」
俊介「メシの途中だったか」
里美「…………」
俊介「学食で食べればいいのに」

里美、うつむく。
俊介が歩み寄って、

俊介「里美ちゃん…だよな?」
里美「…………」
俊介「君の友達に、聞いた」
里美「…………」
俊介「ここだったんだ」
里美「…………」
俊介「いつもの場所にいないから」
里美「やめました」
俊介「ん?」
里美「もうあんなもの配りません」
俊介「え?」
里美「あなたが邪魔するからです」
俊介「…………」
里美「もう話すことはありませんので」

里美が出ていこうとする。
俊介が里美に向かって、

俊介「話がしたいんだ」
里美「迷惑です。警察呼びますよ」
俊介「…………」
里美「本当に呼び―」
俊介「これで最後にする」

行こうとする里美。
俊介、とっさに里美の背中に向かって声をかける。

俊介「高校の頃」
里美「え?」

俊介が里美に少し近づく。
里美は立ち止まったまま振り向かない。
俊介が続ける。

<第8話へつづく>

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