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〇英理の住むアパート・外観(夜)

〇同・英理の部屋(夜)

帰ってくる英理、テレビを点ける。
ソファに転がってため息ひとつ。
バラエティ番組が流れている。
ハーフのタレントが流暢な日本語でスタジオを盛り上げている。
観客たちは大笑い。
英理は笑えずにチャンネルを変えると、就職活動する学生がインタビューを受けているニュースへ切り替わる。
テレビの電源を消す英理、テーブル上にあるビジネスマナーの本を取ってペラペラとめくる。
開いたページには尊敬語、謙譲語、丁寧語の違いがびっしり。

英理「ああ、もう!」

本を床に放る英理、髪を思いっきり掻き毟る。

〇電車の中(夜)

席に座ってスマホを操作しているジェニファー。
ディスプレイには旅行会社のプランや値段が表示されている。

〇もとの英理の部屋(深夜)

テーブル上には書きかけの履歴書。
ノートパソコンのディスプレイにはリクルート情報が映し出されている。
明かりを点けたままぐっすり眠っている英理で―

〇××大学・教室(朝)

授業中の風景。
スマホをいじる者、居眠りしている者、友人たちとお喋りしている者、途中退席する者。
もはや講師の声など聞こえない。
後方の席から様子を見ている英理。

〇同・構内広場

昼休み。
歩いている英理、足を止めて周囲に目をやる。
群れを成して歩く学生たち。
忙しそうに歩くスーツ姿の学生たち。
グループでダンスを踊る学生たち。
突然、学生が英理にぶつかるも謝らず歩いて行ってしまう。

英理「―エイリアン、か」

〇同・学食

大勢の学生たちが食事している。
ファストフードが乗ったプレートを持ってあちこち見渡す英理。
が、席を探すがどこも埋まっている。
サークルの名が記されたブルゾンやシャツを着た学生たちとスーツ姿の学生たちが混ざった異様な光景。

英理「…………」

と、一席だけ空いた場所を見つける。
近くには数人の女子大生たちが集まって仲良さそうに喋っている。
唾を飲み込む英理が近づいて、

英理「あ、あの―」

楽しそうに喋っていた女子大生たちが会話を止め、一斉に英理のほうへ視線を向ける。

英理「!」

驚く英理、プレートを持つ手が震えて声が出ない。
心臓の鼓動音。
女子大生たちが首を傾げる。
英理の心拍が徐々に早まっていく。

英理「ご、ご、ごめんなさい」

早足で去っていく英理。

〇同・女子トイレ・前~中

ファストフードが並ぶプレートを手に、周囲を見回しながら入って行く英理。
個室の中。
便座に腰掛ける英理が思い詰めた顔でハンバーガーを一口。
ゆっくりと頬張ってため息ひとつ。

英理「…………」

と、スマホが鳴る。
ディスプレイに『Boss』の文字。

英理「……え?」

〇グッドランゲージ××校・事務室

カルテを開く英理、そこにはジェニファーの詳細な情報が載っている。
目の前には加瀬木。

加瀬木「見ての通り、入会だ」
英理「は?」
加瀬木「担当しろ」
英理「でも、わたしはもう―」
加瀬木「この子がお前を指名してるんだ。だから辞められると困る」
英理「でもそんなこと―」
加瀬木「こっちだって他の講師はどうかって言ったんだ。でも、お前が良いって」
英理「…………」
加瀬木「いいか、クレームは起こすなよ」
英理「(嫌味を込めて) OK, Boss」
加瀬木「(ムッとして) 校長と呼べ」

加瀬木、事務室を出て行く。
英理がカルテの中身を見る。
ジェニファー直筆のプロフィールには顔写真とは裏腹に難しい感じが並んでいる。

英理「なに、このギャップ」

<第5話へつづく>

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