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前回までのシナリオ
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〇北条家・前
出てくる真央。
綾が待っている。

綾「どうだった?」
真央「はい、無事に」
綾「すごいじゃん!」

真央、カバンからスマホを取り出して着信履歴に気づく。
田辺からである。

綾「それで―」
真央「あ、ちょっとすいません」

〇空き地
真央がやってくる。
田辺が茫然としている。

真央「さっきの件、本当ですか?」
田辺「まあね」
真央「見つかったんですね。じゃあ、早速向かいましょう」
田辺「……やめとく」
真央「どうしてですか?」
田辺「なんだかそんな気分じゃないんだ」
真央「せっかくここまで来たんですから。あ、もしかして今更会うのが気まずいんですか?」
田辺「…………」
真央「田辺さんにもそういうところあるんですね。何か意外で―」

真央の言葉を遮るように書類を差し出す田辺。
戸籍謄本である。
田辺は黙ったまま、真央に見るよう促す。
真央の目が大きくなる。
風がむなしく吹き抜けていく。

田辺「というワケだ」
真央「そんな……」
田辺「最初からこうしとけば、キミに迷惑かけなくてすんだのに」
真央「……」
田辺「俺だけじゃないよな。きっと他にもこういうヤツはいる。家を飛び出して、連絡とらないで、いつの間にか……ひとりぼっちで」
真央「あの―」
田辺「くだらないことだったんだ」
真央「え?」
田辺「昔から身体が弱くて、家族に迷惑ばっかりかけてたんだ。だから高校卒業と同時に家を出た。家族にもうこれ以上負担をかけないようにって。もうこんな体どうにでもなれって思った」
真央「…………」
田辺「たどり着いたのが今住んでる田舎でね。皮肉なもんで体も良くなって、罪滅ぼしのために働いた。必死にここを忘れるためにね。でもどこにいても、ここを忘れられないんだ。家出して言える身じゃないけどさ。何だか恐かったんだ、ここへ来るのが」
真央「いろいろすいませんでした」
田辺「何で謝るんだよ」
真央「何だか自分の悩みが小さく思えて」
田辺「大人だって迷子になっちゃうときあるだろ? そんなの恥ずかしくもなんともないじゃないか」
真央「…………」
田辺「迷ったら誰かに聞いてみりゃいいんだ、キミに聞いたみたいにさ。そしたら教えてくれるから」
真央「…………」
田辺「キミならまだ間に合う」
真央「田辺さん―」
田辺「俺は今まで帰らなかった。でもキミは帰れる」
真央「…………」
田辺「じゃあ、そろそろ」

田辺が行こうとする。

真央「帰ります!」
田辺「え?」
真央「私……帰りますから」
田辺「…………」

田辺が背を向けながら手を振る。
真央、お辞儀をする。

〇駅のホーム(夕)
田辺が再開発中の工事現場を眺める。
駅員のアナウンスが聞こえる。

電車が滑り込んでくる。
乗り込む田辺。
閉まるドア。

〇工事現場(夕)
建設中のビル見上げている真央。

と、近くの高架橋を走る電車が遠ざかっていく。
見送る真央で―

(終わり)

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