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ハジメと実乃里の寝室。
芯太郎が部屋の細部まで事細かにチェックしている。
背後でハジメは緊張を隠せない。

芯太郎「棚の裏、良し。ベッドの下、良し。カーテンの隅、良し」
ハジメ「…………」
芯太郎「エクストリームホコリ取り、なかなかできるようになったな」
ハジメ「いえいえ、まだまだです」
芯太郎「家事も仕事と同様、日々の積み重ねが大切だ」
ハジメ「はい」
芯太郎「気を抜いたその瞬間、すべてが無になる。気をつけるように」
ハジメ「わかりました」

芯太郎が軽く咳払いをして、

芯太郎「ところでハジメ君、彼は今度いつ来るかわかるか?」
ハジメ「彼って……ヌマですか?」
芯太郎「そうそう、沼川君」
ハジメ「いえ、まだわからないです」
芯太郎「そうかあ。もしここへ来ることがあれば、僕に伝えるように。いいね?」
ハジメ「わかりました」
芯太郎「頼んだよ」

厳格な義父はすっかりオレの後輩・沼川広樹、通称・ヌマを気に入ったらしい。
きっとサングラスを一緒に買う気だ。
(※前回のepisode7を参照)

家事のハジメさんがログインしました。

どうも、家事のハジメこと梶野ハジメです。

……ついにこの時が来てしまいました。

皆さんにお伝えしようと思います。
そう、実家を出ることになった日のことを。

若宮家の夕方。
神妙な面持ちのハジメが帰って来る。
ちょうど父・亮助と鉢合わせして、

亮助「珍しいな。こんな時間に」
ハジメ「仕事、早く終わったから」
亮助「そうか」
ハジメ「…………」

キッチンで手際よく料理をしている母・圭子、どこか複雑な表情。
ハジメがやってくる。

ハジメ「――ただいま」
圭子「早かったのね」
ハジメ「うん」
圭子「うがいは――」
ハジメ「まだ」

亮助はふたりに気づかれないよう、背後から様子を見守っている。

ハジメ「あのさ――」
圭子「今日はね、カレーにしたの」
ハジメ「やっぱり実乃里と結婚したい」
圭子「大好きでしょ?カレー」
ハジメ「彼女、なんか女の子っぽくないっていうか。遊園地キライだし、派手な化粧しないし、アニメ好きだし」
圭子「じゃがいもは少なめにしたよ」
ハジメ「とにかくオレ、実乃里のそういうところが気に入ってるんだ」
圭子「代わりにエビ多めにしたから」
ハジメ「たとえ婿に入っても、ちゃんとこっちに顔を出すよ」
圭子「あとイカも入れといたから」
ハジメ「家事は実乃里がしてくれる」
圭子「シーフード風もたまには良いでしょ」
ハジメ「今より働いてもっと仕送りする」
圭子「もうすぐ出来るから」
ハジメ「だから頼む!」
圭子「…………」

カレーの入った鍋がコトコトと煮立つ。

圭子「言ったはずよ。賛成できないって」
ハジメ「…………」
圭子「いいから、うがいしなさい」

落胆するハジメ、キッチンを去る。

亮助「…………」
圭子「…………」

ハジメが自分の部屋のベッドに腰掛ける。

スマホの待受は実乃里との2ショット。
棚の上には両親と写った3ショット。

交互に見るハジメ、頭を抱えてしまう。

室内には時を刻む音が響くだけ。

家事のハジメさんがログオフしました。

芯太郎の部屋。
書斎になっており、たくさんの書物やサングラスのコレクションが飾られている。

ハジメの声「失礼します」
芯太郎「どうぞ」

ハジメが入ってくる。

芯太郎「どうしたんだ?」
ハジメ「あの、実は聞きたいことがあって」
芯太郎「ん?」
ハジメ「えっと……その――」
芯太郎「もったいぶらずに早く言わないか」
ハジメ「義父さんはどうやって実家を出られたんですか?」
芯太郎「…………」

<episode9へつづく>

どうも、家事のハジメです。
いつも読んで頂き感謝感激です♪
前回までのブログは下のリンクから読めますので、どうぞご覧ください!

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