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ピンポーン。

梶野家の玄関前に謎の人影が。
インターホンの対応をする家事のハジメ、電話口から聴き慣れた声が聞こえてくる。

果たして謎の人物の正体とは?

男の声「家・事・のセンパイ!!」

オレの後輩・沼川広樹である。
同じ会社でよくバカをやった仲だ。

今どきの若者で、チャラくて女好き。
夏は必ずプールや海に出かける。
目当ては勿論、水着ギャルたち。
が、声をかけるだけの勇気がない。
いつも見てるだけでthe endさ。

しかも女子たちに視線を気づかれたくないからと、ミラーレンズのサングラスを着用するほどの徹底ぶり。
おまけにカナヅチなので、溺れないように浮輪の準備も欠かさない。

女性は「何だコイツ」と思うだろう。
でもオレはヤツのこういう奥手なとこを結構気に入ってたりする。

ハジメ「ヌマ!何で?」
広樹「お見舞いっすよ」
ハジメ「ぜったい違うだろ」
広樹「はい、これ差し入れっす」

ヤツが持って来たもの……
それが何かはもうわかっている。

パワビタンZ!!!!!

そう、栄養ドリンクだ。

ハジメ「いつものだな」
広樹「へへへ。そしてそして、とっておきのコレっす!」

まむしドリンク……をはじめ、
精力増強ドリンクのラインナップ。

ハジメ「おい、何のマネだ?」
広樹「これで奥さんと暑い夜のゴングを鳴らしてください」
ハジメ「ムスコはまだ元気だから」
広樹「とくにこれはマカとすっぽんがたくさん入っててすっごく効きますよ」
ハジメ「もういいから!」
広樹「やっぱセンパイだ」
ハジメ「え?」
広樹「このやり取り、懐かしいっす」
ハジメ「ヌマ……」
広樹「ってなワケでまずは景気づけに一本」
ハジメ「そういえば最近飲んでなかったな」
広樹「くぅーーーっと一口で、ね?」
ハジメ「あのなぁ」
広樹「ほらほら!」

ハジメが栄養ドリンクを一気飲み。

広樹「やっぱこうでなくっちゃ」
ハジメ「……ありがとな」

家事のハジメさんがログインしました。

どうも、家事のハジメこと梶野ハジメです。
今回はスマホから失礼します。

婿入りを両親に反対されたオレは日々の仕事の疲れもあってクタクタでした。

埼玉の実家から都内の会社へと向かう朝の満員電車の中、SNSのフェイスなんちゃらに投稿される友人たちの結婚式の記事を恨めし気に見ては自分を恨んでいました。

会社の休憩室でハジメが栄養ドリンク・パワビタンZのフタを開ける。
そこへ広樹がやってきて、

広樹「お疲れっす。外回りっすか」
ハジメ「まあな」
広樹「キツイっすね」
ハジメ「お前いっつもそれだな。たまにはそれ以外の言葉も言えよ」
広樹「それはムリっすね」

広樹は缶コーヒーを一気飲み。
ハジメもドリンクを一気飲み。

ハジメ「いっつもそれだな」
広樹「センパイこそ」

広樹がハジメの顔をじっと見て、

広樹「あれ?センパイ、目の下クマできてますよ」
ハジメ「え?そうか?」
広樹「ここんとこ残業っしょ?」
ハジメ「それもそうだけど、他にもいろいろ重なってな」
広樹「そのうち倒れちゃいますよ」
ハジメ「んなことはない」

と、ハジメの足下がグラつく。
しかし何とか踏ん張って回避する。

ハジメ「!!!」
広樹「大丈夫っすか?!」
ハジメ「気のせいだ」
広樹「でも……」
ハジメ「何でもない」

家事のハジメさんがログオフしました。

スマホをしまうハジメ。
広樹はソファでくつろいでいる。

広樹「で、どうするんすか?」
ハジメ「何が?」
広樹「会社っすよ、まだ休職中なんでしょ?」
ハジメ「…………」
広樹「このまま主夫続ける気っすか?」
ハジメ「そのつもりでいるけど――」
広樹「ホントはまだ悩んでるっしょ」
ハジメ「それは……」

芯太郎の声「お客様かい?」

いつの間にか芯太郎がいる。
ハジメはこの世の終わりという顔で。

広樹「オジャマしちゃってまっす」

外の雲行きが怪しくなっていく。
大雨が降りだし、雷も鳴り始めた。

<episode7へつづく>

どうも、家事のハジメです。
ランキングのリンクをクリックしてもらおうと思いましたが、記事が増えたので見やすくスッキリさせてみました。
前回までのブログは下記をどうぞ。

登場人物
プロローグ
家事のハジメ episode1
家事のハジメ episode2
家事のハジメ episode3
家事のハジメ episode4
家事のハジメ episode5
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