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オリジナルボイスドラマ

コンパのサクラ シナリオ⑨(終)

さくら「とか言ってるけど私もね、いろいろあったのよ」 成 川「え?」 さくら「まるでサクラみたいな人生を送ってきたから」 成 川「それっていったい、どういう―」 さくら「こないだまで好きな人がいたの。でも彼、転職しちゃってもう逢えなくなっちゃった」 成 川「連絡先は?」 さくら「ううん」 成 川「好きだった...

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コンパのサクラ シナリオ⑧

成 川「うまくやりなさい。この耳で確かにそう聞いた。まるで出来ない部下を叱る上司みたいな感じだった」 さくら「…………」 成 川「なあ、アンタなんだろ? 俺にあの女を差し向けたのは。俺だけじゃなく、他の男にも同じようなことしてんだろ?」 さくら「違う!」 成 川「どう違うんだ!」 さくら「あれはそういう意味...

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コンパのサクラ シナリオ⑦

SE ドアの開く音 成川M「28歳にして初めてのデート。女性と接し方のわからない俺はマニュアル本なんてものを隅々まで読んだ。まさかキスの仕方からベッドインのテクニックまで載ってるとは。着ている服はいつもファストファッションだが、この日のために新宿のルミネでブランドものを買いそろえた。そしてここは……初めて女...

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コンパのサクラ シナリオ➅

さくら「(ハッとして)……あ、あの時の」 成 川「思い出したようだな」 さくら「でもだいぶ印象が違うし、それに偶然同じ場にいたってだけで私がサクラってことには―」 成 川「見たんだよ」 さくら「え?」 成 川「別の日、会社からの帰り道。アンタとあの女が店の裏で一緒にいるのを。あとで調べたら、そこが街コン会場...

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コンパのサクラ シナリオ⑤

さくら「ちなみにそのコンビニって、どこにあるんですか?」 成 川「世田谷です」 さくら「え、世田谷?」 成 川「駒沢大学駅の近く」 さくら「そうなんですか! ウチ、用賀です!」 成 川「たった二駅。何かあったら、すぐ会いに行けますね」 さくら「またまたあ」 成 川「実は……ずっと会いたかったんです、あなたに...

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コンパのサクラ シナリオ➃

さくら「すいません、なんか私ばっか喋っちゃって。えーと、『リュウ』さんって読書が趣味なんですか?」 成 川「はい、小説から哲学、経営、株など、本であればなんでも」 さくら「じゃあ、お休みの日は書店へ?」 成 川「はい。なかでも荻窪のtitleっていう本屋は雰囲気が好きなんです」 さくら「そこ知ってます! い...

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コンパのサクラ シナリオ➂

成 川「初めまして、『リュウ』って言います。よろしく」 さくら「よろしくお願いします」 成 川「『しの』さん、ですか。上品なお嬢様や和美人のような名前ですね」 さくら「いえいえ、ドレスも着物もあんまり似合わないんです」 成 川「そうですか? おしゃれな雰囲気でとても幸せな顔立ちをしていると思いますけど」 さ...

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コンパのサクラ シナリオ➁

SE 街中 さくらM「数か月後、1月の東京は夕方の渋谷。金曜日だけあって、街はとてもにぎやか。それを見てるとつい『渋谷で5時』を口ずさんでしまいそうになる。あの歌の中ではポケベルが鳴ってたけれど、今や街行く人は誰もがスマホを見ている。これだけの人がいるのだから、あちこちでスマホの画面に現を抜かした男女がぶつ...

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コンパのサクラ シナリオ➀

本シナリオは役名の記載においてネタバレを含んでおります。 あらかじめご了承くださいませ。 SE 街コン会場内の声 司会者「(マイクの音声で)お待たせしました。それでは本日、最後のカップルを発表いたしまーす!」 さくらM「私の名は『しの』。わけあってそう名乗っている。日々、東京都内のあちこちで行われる男女同士...

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収差~時の流れ~ シナリオ➃ (終)

SE 駅のアナウンス 鏡輔M「翌朝、瞳を車で鯖江駅まで送った。昨日は深夜にもかかわらず瞳はひとり工房でメガネを削っていた。古き良き機械の使い方に悪戦苦闘する姿はまるで自由奔放な子どもに手を焼く母親のよう。まだまだ未熟な娘だが、わりと筋は良い。かつて都内のロケット部品の製造企業に勤めていた俺が妻の実家を継ぐた...